日本書紀(上)

古事記を前に読んだので、今日本書紀を読もうとした。講談社の学術文庫の現代語訳を読んでいるが、古事記と違って、注はないので、翻訳しかない。だが、やはり興味深い。古事記と似ている点もあるが、異なる点も目立つ。

先ず、世界開闢の話には、さまざまなバージョンがあるようだ。殆どのバージョンで、天照大神は普通にイザナミの尊に産まれたとか、神様の名前がちょっと異なるとか、出雲神話は全く載っていないなどの違いがある。天皇の話に入ったら、登場人物はほぼ同じだが、話の繰り広げが大分異なる。例えば、大和武尊の話で、景行天皇との関係は、古事記で犬猿の仲だが、日本書紀で親孝行だ。話の中の表れる動物も異なる。古事記で猪は大事だが、日本書紀で鹿だ。

今まで目立つ異なりは、韓国のことだ。古事記で韓国のことがあまり出てこないが、日本書紀で韓国との関係は神功皇后以降主なテーマになるように見える。そして、神功皇后自身が日本書紀で天皇のように一つと巻を占めて、振舞を詳しく描写してもらう。応神天皇の摂政として政権を握ったと書いてあるが、応神天皇が即位するのは、神功皇后が崩御してからで、七十二歳の時だった。天皇は未成年の間に政権を握ったわけはないだろう。勿論、神功皇后は本当に歴史的な人物なのは疑わしいが、日本書紀を編纂した人の考え方を明らかにするかもしれない。

そして、悪天皇の数は非常に多いような気がする。雄略天皇と武烈天皇は特に残酷なことをたくさんして、日本書紀でも「人民が恐れて悪い天皇と思った」と書いてある。だから、これは歴史的な人物かなと思った。

やはり、一回読んだら、分からないところは多い。日本書紀と古事記を一生研究する人もいるようだから当り前だ。もう少し知りたくなったが、時間は限られている。研究したい分野はたくさんあるので、後半を読んだら、ますます探れるかどうかはわからない。


投稿日

カテゴリー:

,

投稿者:

タグ: