私は英語での神道についてのメールリストに参加する。今日だれかが日本人の態度を批判したが、その批判は、英語の言葉のニュアンスに基づいた。日本語は「事件」、英語は「incident」だった。「incident」と言ったら、中立的な立場から論じるニュアンスがある。例えば、犯罪をincidentと呼ぶ場合は極めて少ない。incidentと言ったら、まだ犯罪かどうかは不明だというニュアンスだ。何か重大な出来事があったが、どう評価することは、まだ決めていない。和英辞書で「事件」を引いたら、「incident」が訳として出てくるが、使い方は違う。「収賄事件」を「bribe receiving incident」と翻訳すれば、まだ犯罪ではない可能性があると言う。日本語にはそういう意味はないのは言うまでもない。
「incident」は「事件」の訳としてよくないとはいえ、いい訳を見つけるのは大変難しい。「事件」の曖昧さを保つのは重要だが、必要以上な中立的な態度を示唆するのはダメだ。しかし、文章の長くすることもよくない。特に、日本語の文章のバランスを保たないと、英語での相対的な重大が日本語の場合と異なってしまう。それも意味を変えることになる。イタリア語で「翻訳は謀反役」とのことわざがある。本当にそうだ。