柔軟な職市場

今フォーサイトという雑誌で働き方についての記事を読んでいる。それによると、転職を積極的に評価し、新しい技能の勉強を奨励すべきだそうだ。日本の終身雇用は、もう時代に合わないと。社会保障は必要だとも述べる。

私も或る程度賛成する。特に中年になっても、なるべく簡単に転職できるように、できるだけ容易に職業が変えられるようにした方がいいと私も思う。社会のも職場のも変化が迅速になってきたので、それに対応するために職市場をより柔軟にする必要があると言えよう。

一方、それはある意味高級の職業についての話だ。フリーターのような時給が低い仕事の場合、安定さを増したほうがいいのではないかと思わざるを得ない。そういう人は、いわゆるワーキングポアだから、生活はもう十分厳しい。その上、「職市場を柔軟にせよ」を旗印として、解雇を簡単にするなら、弱い立場に強いられた人を攻めることになると言える。そして、この柔軟は、収入が高くて貯金もある、即ち解雇されてもなんとか対応できる、人にあまり接しないような気がする。公務員を簡単に解雇できるようになるわけはないし、部長以上の正社員を急にリストラする場合も少ない。むしろ、派遣社員を解雇したり、内定就職を取り消したりするの行為が著しくなる。

だから、規則として、年収は、例えば、300万円以下の社員は、正社員でも契約社員でも、解雇すれば6ヶ月の給料を与える義務を設けたらどうだろう。その六ヶ月の余裕で、新しい仕事が探せるので、罠に落ちないはずだ。そして、500万円までは、三ヶ月にしたら、貯金と合わせて新しい仕事が探せる。それ以上、特別な解約金は必要ないとしよう。私の印象は謝っているのかもしれないが、現状と逆なのような気がする。今は、自分の財産などで耐えられる人を優遇して、困難な状況に陥る人を捨てるようだ。

つまり、「柔軟な直市場」を讃えたら、社会で弱者の損に廻ると恐れる。


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