新・日本神社100選

タイトルからこの本の内容が分かると思う。日本全国にある神社を100ヶ所を選んで、紹介する本だ。紹介の内容が歴史に重点を置くが、場所なども入っている。有名な神社が沢山入っているので、参拝したい神社を選ぶことに役に立つ本だと言える。

ただ、内容に対する疑問がある。疑問というより、信頼できない点は少なくない。「神武天皇の惣社制」がよく掲げられているが、総社制度は、中世以降のことだ。一の宮制もそうだから、八世紀に国が設けられたからの一の宮だとの記事は、当たり前のことだけを言う。記事にはよく「宮下文書」が史料として引用されるが、中世以降の偽書のように見える。特に、神武天皇総社制は、中世以降の偽作だというのは、明らかだ。この本でも、八世紀以降の建立の記録がある神社は神武天皇総社制に入っているので、やはり建立は記録より早かったとも書いてあるが、神武天皇の総社が中世の一の宮とほぼ重なることから、後世の偽作の本質が明らかになる。

そして、神社の解釈には、国家神道の味は濃い。作者は、明治生まれと昭和初期生まれだから、それは原因なのだろうか。なんと言っても、現在の神道学の成果と合わない内容は少なくない。そして、神社の選択する基準も、皇室と関わる神社を優先するようだ。それは必ずしも悪いだとは言えないが、例えば貴船神社は載っていないが明治時代に国家神道の一巻として建立された神社が多く載っている。

結局、この本が参考になったが、もう一冊を探すつもりだ。別な立場から選んだ本と合わせたら、よりいい紹介になるのだろう。