これは読みにくい本だ。神社本庁が出す祝詞例文集上巻だが、祝詞自体は万葉仮名の古い仮名遣いで、千年前の日本語も使われている。例えば、「清まわりて」は「清麻波里氐」のように書かれる。送り仮名の大きさは、言葉の本体より小さい文字で書かれたし。幸い、多くの例文にはカタカナのルビがあるので、読み方がどんどん覚えるようになった。
だが、残っている問題は、仮名の読み方だ。言った通り、古い仮名遣いで書かれるが、「申す」という動詞は、「白須」と書かれるが、ルビは「マヲス」だ。発音するとき、現代の「もうす」か、書いた通りの「まをす」か、ちょっと分からない。神社での祝詞を聞いた時に、両方を聞いたことがあるので、神職にも疑問があるらしい。
さて、神道を勉強する人、特に外国人の学者、の間に、神社本庁が皇室を神道の中心に据えるとよく言われるが、この祝詞集を読んだら、初めて印象的だった。殆どの祝詞に、願い事になったら最初は天皇陛下の寿命や御代が長くなるような願いがある。今まで神社であまり気づいたことはないが、これから注意を払う。序文で「この本は例文に過ぎないので、神社の事情に応じて手を入れてください」と書いてあるので、神職によって異なるだろう。だが、やはり少なくとも30年前の神社本庁はそうだったし、今も同じ例文を掲げるので、大きく変わっていないはずだ。