国際化に向き合う神社神道〜その二

では、シンポジウムの続きを書く。

二人目の発題者は、ヒロ大神宮という神社の渡邊宮司だった。この方は、平成11年にアメリカに渡来したが、平成18年にアメリカ合衆国に帰化したそうだから、もう外国人の神主になった。ヒロ大神宮は、実はこじんまりの民社だと渡邊さんが言ったが、ハワイ大島には唯一の神社だから、「大神宮」という呼称があるそうだ。

そして、祭祀を執り行っている。毎月の月次祭は、一日と15日に行うが、一日には40家が参列するそうだし、15日には10家が参るそうだ。一月でご祈祷は20件から30件までだそうだし、お正月の初詣は4000人程度だそうだ。興味深いことに、渡邊宮司によると、参拝者の殆どは高齢者だが、この十年間の人数は変わらないということだ。もちろん、亡くなった人もいたが、定年になって参拝し始めた人もいるそうだ。やはり、暇の問題も関係あるようだ。日本の恒例の祭祀に加えて、アメリカのキリスト教と関わらない祭日にも祭祀を行うそうだ。例えば独立記念日などに祭祀を執り行うと言った。

祭祀以外のイベントもあるそうだ。例えば、毎年いわゆる「ガラージ・セール」を行う。それには、二つの目的があると渡邊宮司が言った。一つは、神社神道と関わりのない地元の人に、神社の境内に入るきっかけを与えることだ。アメリカでは、自分の宗教と異なる宗教の宗教的なイベントに参加しないことは原則だが、ガラージ・セールぐらいなら、誰でも参加しても良いと思われている。神社の存在感を増すはずだ。そして、総代の会議でガラージ・セールのことを論じて、会議に内容を与えて、長くさせて、総代の間の交流を促す目的もあった。ガラージ・セールの写真を見せてもらったので、かなり隆盛なのようだ。

渡邊宮司は、誰の参拝者にも声をかける方針を持つそうだ。地元の人でも、日本人の観光客でも、他の国の観光客でも、声をかけて、質問に応じるそうだ。その目的は、「神社のリピーターを作る」ということだそうだ。それは、ヒロ大神宮だけではなく、他の神社にも参拝したくなるように歓迎する方針なのようだ。それはいい方針だと思う。日本人の観光客の間にも、神主と話したことはない人は少なくないそうだが、帰国して、またお参りするのだろう。

ところで、余談だが、渡邊宮司がアメリカに入国しようとしたときに、入国管理局から質問があった。それは、当時渡邊宮司が奉仕した神社の祭神とヒロ大神宮の祭神は別の神だったから、本当に同じ宗教なのかどうかは疑わしいことだったそうだ。結局、神社神道に詳しいアメリカの弁護士を通して問題を解決できたそうだが、やはり西洋の宗教観念から考えたら、神が異なったら、宗教も異なるのは常識に近い。

ハワイの神社はちゃんと生きているようだ。大変盛んになっていると言えなくても、近い将来に絶滅する恐れもないだろう。だが、日系のアメリカ人の崇敬者は殆どだそうだから、どれほど土着したかはまだ疑問だ。日系の人はまだ三世か四世だから、まだ日本との絆は比較的に強いだろう。それが薄まるとともに、神社の状況はどうなるのかな。未来を待つしかないが、やはり暗い見通しではないのだ。


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