国家の義務づける権利

国家は、なぜ住民に義務づける資格を持つのだろうか。バカな質問に見えるかもしれない。国家だから義務づけられるだろう。

だが、私がここで「私は、今日から日本の皇帝になる。私には独裁の権利がある。従え。」と言っても、私が日本の主にならない。自称の国家は国家にならない。そして、強いるための力があるから義務づけられるとも言いたくなるだろう。警察や軍隊(自衛隊)があるので、従わないと行けない、ということだ。確かに、従わなければ、罰を受ける。だが、暴力団も同じだ。強盗でお金を渡さないと、犯罪者に殺される可能性がある。だからといって、お金を渡す義務があるとは限らない。というより、渡す義務は一切ない。

だから、日本政府はなぜ狂った自称皇帝や暴力団と異なるのだろう。

治安を保つ法律には別に問題はないと思える。殺人や強盗を避けることは、倫理的な義務だから、法律はなくてもすべきではない。そして、治安を損なわない義務も、倫理上あるとも言えるので、してもいいことが禁じられても、国の中にいるうちにしない義務がある。例えば、イギリスで処方箋なしに普通の薬局で買える風邪薬は、日本で覚醒剤取締法に触れるので、日本に持ち運ばない義務が生じる。勿論、法律は悪質であったら、話は別だが、日本の治安関係の法律は悪質ではないので、この従う義務が問題にならない。

一方、課税などの法律は問題になる。国家はなぜ強盗に等しくならないのか、という質問に答えなければならない。国民の場合、答えは参政権だ。政府の政策に反対すれば、排除できるので、自分が選んだ政権の政策に従うべきなのだ。実は、この理由にも問題があるが、基本的にこのように政府の権利を裏付けられると思われる。

では、参政権を得ない人はどうなる。観光客には課税しないので、それは問題にならない。(観光客の場合、消費税も返還して貰える。)殆どの子供が納税しないので、これも問題にならない。

だが、滞在する外国人は問題になる。課税するのに、参政権を与えない。(これは世界中の殆どの国の事実だ。)では、この場合、国家はどうやって泥棒と異なるのだろう。暴力で脅かして、お金を奪うのではないか。参政を拒まれる人に課税すれば、独裁的な行為だとも言える。

だから、永住者だけではなく、中長期的に滞在する外国人にも参政権を与えるべきだ。国家の倫理的な基盤の一部だからだ。そうしない限り、外国人が納税すれば、倫理の側面から見れば任意だから、奨励すべきだ。脱税で罰を科すのは、倫理的な根拠はないので、粗暴にすぎない。選択肢は二つある。一つは外国人に参政権を与えるが、もう一つは外国人を完全に免税することだ。倫理的に、どちらでもいい。正義を擁立する方法は一つしかないわけにはいかない。だが、国家の構成を考えたら、課税と参政権を両立したほうがいいと言えると私が思う。

勿論、権力に対して正義を訴えても無効だから、知恵のある外国人はちゃんと納税するので、改善は国家のためだ。国家も、倫理に従うべきだ。


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コメント

“国家の義務づける権利” への2件のフィードバック

  1. nipponinのアバター
    nipponin

    Q1. 税金を払っているのだから外国人にも参政権を与えるべきだ。

    A1. いいえ、与えるべきではありません。税金は道路、医療、消防、警察などの公共サービスの対価であり、参政権とは関係ありません。
    もし、税金によって参政権が与えられるなら、逆に言えば学生や主婦、老人など、税金を払っていない人からは参政権が剥奪されることになります。
    そもそも「納税してるんだから参政権よこせ」というのは、「参政権をカネで売る」という発想であり、 日本の先人たちが長い時間を掛けて勝ち取った普通選挙制度(納税額や
    性別の区別なく全ての国民に平等に選挙権が与えられる)を否定し、制限選挙制度(納税額の多少などによって選挙権に制限が設けられ、金持ちしか選挙に参加できない)に
    逆戻りすることに他なりません。

    なお、日本では1925年に、衆議院議員選挙法が改正され、それまであった 納税条件が撤廃されました。

  2. チャート・デイビッドのアバター
    チャート・デイビッド

    Nipponin様、コメントをありがとうございました。この問答には、根本的な誤解があります。比喩をする。

    もし、「母親を尊重すべきだ」と言ったら、「それは不孝だ。父親を尊重すべきではないなんて。」と人が反論したら、びっくりするでしょう。母親を尊敬するべきだから、父親を軽蔑してもいいというわけではありません。

    これも同じです。課税者に参政権を与えるべきですが、免税者にも参政権を与えるべきです。ただ、理由は異なります。例えば、政府の抑制などを受けますし、人生の計画は、その国のなかで立てますからと言えるでしょう。免税者から参政権を剥奪するわけにはいけませんが、与える義務の根拠はもちろん課税することではありません。

    ところで、参政権を広げる歴史を参政権を縮小する方針を支持するために使うことには、矛盾が抱えると私が思います。また80年間が経ったら、今外国人参政権に反対する方は、明治時代に女性参政権を反対した方のように看做される可能性はなくはないと思えます。私も、普通選挙制度の維持を望みます。ただ、女性と同じように、外国人も人間ですので、まだ日本では果たしていないと思います。