神道と渡来人

今神道の勉強の為に読んでいる本は、小野祖教氏の『神道の基礎知識と基礎問題』だ。神職向けであることが明らかになるところは多いので、それは面白い。例えば、特殊神事についての項で、実践的に変えざるを得ないことになったらどう進んだらいいのかについても論じるが、学習の立場からなら、そういう視野を取らないはずだ。

さて、ちょっと取り上げたい点は、渡来人と神道のポイントだ。小野氏が直接に取り組むことはまだだし、そうしない可能性もあるが、祭神についての功で「外国人が祭神になる神社」という項目がある。数は多くないが、存在するそうだ。一番有名な例は、京都の平野神社だそうだ。平野神社の祭神は、桓武天皇の外戚の百済国、即ち朝鮮半島の古代の国の一つ、の王室の祖先だそうだ。そして、大阪市の許麻神社と埼玉県の高麗神社は両方高麗国、即ちまた朝鮮半島の古代の国の一つ、の人を祭るという。大阪府池田市の呉服神社では、呉の国、即ち古代中国の国の一つ、から渡来した姫様を祭るそうだ。そして、熊本市の加藤神社で、明治4年に韓国人が合祀されたそうだ。

その上、周知の通り、お稲荷さんの信仰が始まったのは、秦氏の間だったが、この秦氏は、渡来人の氏だった。八幡様も、日本人と渡来人によって構成された信仰だと言われる。

この事実を踏まえたら、外国人は神道と無関係であるという歴史的な根拠はないことを強調できる。その上、「外国人には神道の本質が分からない」とも言えない。神様になる資格さえ持てるので、総代や神職になる資格が欠かすはずはないだろう。といっても、神社界の中でまだ外国出身の神職にたいする抵抗感があるというし、神道の国際化について論じるときにも「我々日本人」という癖があることを私が見た。統計上、圧倒的に日本人であるとはいえ、特に国際化を論じる時に、日本人ではない人の存在を積極的に認めた方がいいのではないかと思う。


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