『日本神道史』

最近読み終わったこの本は、國學院大學の岡田先生が編集した書物で、神道の歴史を語る本だ。一般評価から始めると、大変良い本だと思う。歴史を分かりやすく紹介して、最新の研究の成果に基づいた内容も多い。神道の知識は完全にゼロであったら、ちょっと分かりにくいかもしれないが、お参りしたことがある日本人には問題はないだろう。お勧めです。

特にいいと思ったところは、古代の神道の章と神社の分布や神社数推移の章だっただろう。古代の章で、考古学の成果を使って、神道の淵源をよく描いたと言える。そして、分布や推移の分析は、他の本で見たことはない情報で、神道の変貌を把握することには必見であるとも思った。私が本を買ったのは、神道を知る講座の教室でであったが、岡田先生が「この本は、この数年間の講座の内容を本にしたことだ」と述べた。結局、講座の方が詳しいが、基本的にその通りだ。特に前書きと後書きに、講座の教室で披露した逸話が載っている。読んだら、まるで岡田先生の声が聞こえるかのようだった。だから、このブログで講座の粗筋を読んで、より詳しく知りたくなった人は、この本をぜひ入手してください。

前書きで、岡田先生が神道の成立期の問題を紹介して、候補を挙げる。その候補は、弥生時代初期、五世紀古墳時代、七世紀後半・八世紀の律令祭祀制、平安時代初期、院政期、十五世紀の六つだ。岡田先生が、「神道」という体制に至らないことを理由に、弥生時代や古墳時代の説を却下する。そして、残りの四つの時期には夫々の重大な神道史の転換だあった時代であることを明らかにしたが、結局律令時代を成立期にした。本の詳細のところでも、この重大の転換がはっきり見えるので、説得力がある説だと言える。

しかし、私は、古墳時代説を提唱したいと思う。なぜなら、考古学の成果から分かる古墳時代の祭祀は、明らかに現代の神道祭祀と直接に繋がるからだ。祭具にも共通点は多いし、聖地も重なるケースは少なくないだろう。検証されたのは、奈良県の大神神社と福岡県の宗像大社の沖の島だが、それは検討の不足の結果だと思える。岡田先生の「体制が整っていない」主張は否めないが、後代の神道の歴史を読んだら、何の時代でも体制外の神社は多かったようだ。律令期の延喜式に載る神社のほか、少なくとも相当する神社数があったと推測できるし、式内社の倍ぐらいの式外社があった可能性もあるそうだ。だから、体制を神道の成立の定義として捉えることには問題があると看做す。岡田先生と同じように、神道史の中の転換があったことを認めて、ただ律令期の時期もその一つに列したいと思う。

勿論、これは神道の解釈によって左右することだ。私は、神道で皇室の役割を中枢から外したい立場から論じるが、岡田先生は違うようだ。私の考えは、現存する史料には著しい傾きがある、すんわち朝廷関係の史料が多く現存するので、神道の実状が史料で見える神道とちょっと異なる意見だ。この本で、私の意見を裏付ける証拠も見つかるので、本の構成は、この点でも、大変良いと思う。

ぜひ、読んでみたください。