「the」と文章の前提

先日『「the」の使い方』という投稿で「the」の使い方の説明と挑戦した。読者からのコメントのお陰で、文章の前提についての説明が足りなかったことが分かったので、今日またその説明と取り組ませていただく。

先日書いた説明は以下の通りだった。

「the」の使い方の原則:名詞は、文章の前提としてその名詞が登場する文章の内容を含む文脈で特定されたら、「the」を使うべきだ。

先ず、「文章の前提」が「特定されたら」と一緒に解釈するべきだ。その上、「前提」を「主旨」の対象として解釈したら、もう少し分かりやすくなるだろう。つまり、文章で伝わる意味の前提として、名詞が特定されるということだ。これは確かに難しい点だし、私の説明方法についてまだ不満を抱くが、努力して、もう少し明瞭にしたいと思う。

例文として、「The prime minister formed the cabinet」を考えよう。(総理大臣が内閣を構えた。)「the」は二つあるが、文章を理解する為に、総理大臣は誰か、そして内閣はどちらの内閣か分かる必要がある。だから、「the」を使う名詞が特定されたことは、文章の前提だ。

対象の例文として、「The prime minister formed a cabinet lacking in experience」を考えてみよう。(総理大臣が経験を欠ける内閣を構えた。)総理大臣はまた「the」だが、それは文章を理解するために、総理大臣が誰を指すか分かる必要があるからだ。一方、今回内閣は「a」だ。それは、文章を分かる為にどちらの内閣を指すか分かる必要はない。総理大臣の行為についての説明だから、複数の内閣があっても、この文章の意味としてはかまわない。一方、内閣は一つであっても、そして、文脈そのことが分かっても、まだ「the」は使わない。内閣は特定されても、文章の前提ではないので、「the」を使わない。

この使い方は、卓上の考えで複数が可能である場合に限られるだろう。例えば、「He is a first person to walk on the moon」というのは変だ。どうして考えても、最初に月に足を踏んだ人は二人以上になるとは思えない。一方、一人の総理大臣には複数の内閣がある可能性は充分ある。実物の例も可成りある。しかし、問題の文章の文脈で二つ以上が考えられなきうても、「the」を使わない場合もある。例えば、「The prime minister and the cabinet fell after six months, because the prime minister formed a cabinet lacking in experience」という文章で、二回目の内閣と一緒に「the」を使うと間違いだ。いつものルールと逆だ。最初に内閣を言う時に「the」を使うべきだが、二回目で「a」を使わなければならない。それは、広い文脈で総理大臣も内閣も特定できるので、最初から「the」を使うが、文章の後半で内閣の特定だ文章の前提ではなくなるので、「the」を使う範疇から除外される。

同じように、前回の例文の「Mt Fuji is a mountain that symbolises Japan.」で、富士山以外の日本を象徴する山があっても、この富士山について情報を伝える文章には関係はない。富士山が日本を象徴することを伝える為に、他の象徴する山の存在がかまわない。一方、「Mt Fuji is the mountain that symbolises Japan.」と言えば、伝えたい内容は富士山は唯一日本を象徴する山であることになるので、「日本を象徴する山」は特定されなかったら、意味が伝わらない。だから、特定だれたことが文章の前提になる。

一方、複数があることは明らかであっても、文章の意味を伝える前提は名詞が特定されたことである場合、「the」を使う。例えば、「He is the man I told you about」と言っても、男性の一人についてしか語っていない筈はないが、聞き手が語った男性の中から誰を指すか分からなければ、意味が伝わらないので、文章の前提はこの男性が文脈で特定されたことだ。この場合、ネイティブでも間違える。「Which man you told me about?」と聞かれることは少なくない。文法には間違いはないが、文章の前提が満たされなかったので、使い方の間違いになってしまう。

要するに、また話し手の目的を考えないといけない。伝えたい意味によって、名詞が特定されたことが文章の前提になることは多いが、目的が変われば、特定しなくてもいい場合もある。「the」の使い方は日本人には難しい理由はもう充分分かっただろう。この説明でちょっとだけ光を差せたら幸いだ。


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