強制起訴

昨日検察審査会が小沢一郎民主党元幹事長の強制起訴を示す議決を下したことは周知の通りだ。無罪か有罪かを公判に委ねるが、関わる点についてちょっと書きたいと思う。

先ず、ウェブ場の新聞記事を朝日、読売、毎日、産経を見たが、いずれも「小沢氏」と書いてある。私もそれに従うが、なぜ「小沢容疑者」や「小沢被告」と書いてないか不思議に思う。普段の事件で、逮捕状が出れば「○○容疑者」になるのに、起訴になってもまだ「小沢氏」と書く理由は何だろう。朝日の記事で小沢氏の元秘書を「石川被告」として書かれるので、小沢氏も同じく「小沢被告」として書いてもいいだろう。確かに正式な使い分けが分からないが、操作されると「容疑者」になるし、起訴されると「被告」になることは合理的だろう。「触らぬ神祟りなし」という考え方が働いていると疑うが、為政者が不正な行為を犯せば、それは一般の市民より深刻なことだから、特別に遠慮しないほうがいいと思う。「被告」という言い方が失礼であれば、まだ有罪判決が下されていない一般市民に対しても使うべきではない。判決はない限り、被告は無罪だという前提は、日本の刑事制度にもあると聞いたことがあるし。失礼ではなければ、小沢氏に対して使っても問題はないだろう。

この呼び方の現象がより深い課題に繋ぐ。権力者に接触しないように気をつける傾向は日本に限らないが、日本で目立つと言われる。確かにこの事件でなぜ最初から小沢氏を不起訴にしたかはちょっと疑わしいのだ。4億円の金額は、小沢氏でも些細な金額ではないと思うので、動きについて知らなかったことは信じ難いのだ。特に小沢氏の評判は、独裁者のような性格を持って、特に民主党内の政治資金の流れを詳しく把握して、コントロールすることだ。自分の後援会の資金を手放しにするはずはないと思ってもおかしくないだろう。だが、特捜部の決断の根拠は公表されていないようだ。ただ「嫌疑不十分」と主張した。だから、小沢氏からの圧力があったのではないかとか、御上には疑いが及ばないように遠慮しているのではないかなどの疑いを招く。公判にして、潔白であれば公に示す必要があろう。

確かに検察官が反対する為政者に弾圧を与える可能性もある。しかし、今回の問題がそのような事件のように全く見えない。両方の問題を防ぐ為の制度を設けるべきだが、今回犯罪を無視する傾向の問題のほうが深刻だと思う。

最後に小沢氏の進退が気になる。元秘書の石川被告が起訴されたら、すぐに離党になったので、これを前例として捉えると小沢氏もすぐに離党すべきだと言える。しかし、小沢氏がそう簡単に民主党を放置するとは思い難いのだ。このことの前途を予想さえできないので、ただ興味を持って見るだけだ。


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コメント

“強制起訴” への2件のフィードバック

  1. koaroのアバター
    koaro

    強制起訴の議決が成されたという話です。
    まだ実際に起訴されてないので、新聞が「小沢氏」と書くのは当たり前だと思いますよ。
    もちろん「逮捕」もされてないので「容疑者」ではありません。

    結局は無罪になると思います。

    あとイギリス人の小沢氏嫌いはちょっと異常ですね。
    http://www.telegraph.co.uk/news/worldnews/asia/japan/7963959/I-dont-like-British-people-says-Japanese-politician.html
    http://www.telegraph.co.uk/news/worldnews/asia/japan/7966176/Japanese-who-only-likes-River-Kwai-Brits-to-stand-in-leadership-vote.html
    http://www.telegraph.co.uk/news/worldnews/asia/japan/8001686/Japanese-PM-defeats-leadership-rival-who-dislikes-Britons.html
    http://news.goo.ne.jp/article/ft/politics/ft-20100830-01.html

    小沢氏曰く、「イギリス人はさんざん悪いことして紳士ヅラして済ましているから好きではない」そうですが、これは全文を読めば特におかしな発言ではありませんよ。
    http://etc8.blog83.fc2.com/blog-entry-604.html

    幼稚だと思います。

  2. チャート・デイビッドのアバター
    チャート・デイビッド

    @koaro 様、またコメントをありがとうございます。なるほど。まだ正式に起訴されていないなら、確かに当然です。一般人の場合ちょっと油断する場合があるとしても、権力者の場合気をつけないといけませんね。私がちょっと誤解したようです。

    イギリス人の小沢氏嫌いと言えば、産經新聞の小沢氏嫌いまで至らないと思いますが、確かにちょっと顕著しました。しかし、日本の捕虜をイギリス人の利点の象徴として掲げるなんて、失礼なのではないでしょうか。「素直にアメリカに降伏した日本人像が日本人の利点をよく表す」とアメリカの民主党幹部が演説で言ったら、日本の新聞で批判を回避できると思い難いでしょう。確かに文脈を読んだら、主旨はイギリス人の批判や軽蔑からほど遠いですが、日本の政治家によく見える失言の例として認めざるを得ない。特に「イギリス人は好きではない」とはっきり言うつもりがあれば、言い方に気を付けたほうがいいでしょう。

    確かにイギリスの新聞が何を言ってもかまわないと小沢氏が思っても間違いではないので、その立場から案が得たら何気なく言ってもいいですが、当然な反応に驚くべきではありません。

    FTの批判は別で、政治的な立場が根本的に異なるから批判すると私が思います。イギリスにも政治的な意見は多いので、小沢氏を応援するイギリス人もいる可能性は否めません。ただ、日本の政治に詳しいイギリス人は確か仁少ないのです。