政治と世論調査

先日に述べたように今速読の訓練の為に『選択』と言う雑誌の記事を使う。今日読んだ記事は8月号からのものだが、世論調査の過剰な影響を歎く内容だ。私も賛成だ。実は、これほど完全に『選択』の記事と賛成するのは珍しいが、それは私にとって相応しい雑誌であることを証す。

世論調査の結果、特に内閣支持率の結果で、政権の命を決めようとする人は少なくない。支持率が10%を割れると、政権が生き残らないと判断するし、暫く低迷したら、ポスト誰かを論じ始める。しかし、今の菅政権のように次の国勢選挙はまだ数年先のことであれば、支持率がゼロに当たっても、政権が生き残る。民主主義の政治で、選挙で政権の運命を決める。確かに支持率がゼロに落ちたら選挙で歴史的な敗北になる筈だが、選挙を待つべきだと思う。

理由を前にも述べたことがある。民主主義の欠点は、長期的な計画を実現することは難しいことだ。特に任期が終わってから発生する問題と取り組むことは極めて難しい。今取り組んだら努力や費用は少ないとしても、成果は十年越しか見えないなら、民主主義でやりにくい。無理ではないが、政治家にやるべきことがやりにくくなるのは欠点だ。だが、世論調査に左右されれば、益々酷くなる。世論調査に過剰な重みを置いたら、次の選挙までに成果を上げる政策も、今週不人気であれば止める。その状況で現在の深刻な問題と全く取り組めなくなる。環境問題は勿論、社会問題も同じだし、経済的な問題さえ解決できないだろう。

だから、政治家には政策や方針の理由が分かったら、世論調査を無視した方がいいと思う。選挙で負けたら、それは政治家の運命だが、選挙までに有権者に目的を分かってもらって、評価してもらうことが望めるのではないか。しかし、信念や理解のない政治家であれば、世論調査の結果が一旦悪くなったら、自信を失って政策を修正する。結局報道陣ではなく、政治家の質を問う問題なのである。


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