警察取材録画

また具体的な政策を差し上げる。警察が容疑者や証人を取材するときに、最初から最後まで録画する義務を付ける法律を設けるべきだと思う。録画されていない供述は、裁判に無効にするほか、録画せずに取材することに罰則を科したほうがいいと述べたい。

これは、最近の10年以上の懲役の後で無罪判決が言い渡されたケースや検察官が証拠を捏造したケースを踏まえて、無罪の国民を守るための政策だ。裁判で供述の促した状況が分かったら、供述には信憑するかどうかも判断できるし、警察官が録画されている間に人権を侵害するはずはない。だから、無実な供述を減らす効果が期待できるし、犯人を解放する裁判も減らすと推測する。(無罪な人が有罪判決を受けたら、本当の犯人がまだ解放されことを忘れてはいけません。)一方、警察官が訴えられたら、録画を披露して、潔白できる。

守秘義務がある場合、録画しなくてもいいだろうが、捜査の取材はそのようなことではない。むしろ、最後に公表することは基本だ。だから、妥当で確実に公表できるように録画を保管したほうがいいとも言える。

この政策はもう挙げられているが、警察側が反対するそうだ。イギリスで、もう25年ぐらい前から相当する規則があったが、現在反論する警察官はいない。人権を侵したい警察官は極めて少数派だし、人権を尊重すれば録画されても支障にならない。そして、容疑者の訴訟に対する盾にもなるので、警察側にも利益になったようだ。だから、仕事の形式の変化に本能的に反対する警察官を説得しようとしながら、この政策を実施するべきだと私が思う。

これに財源はちょっと必要だが、本当に僅かだと思える。録画する為の設備を用意するぐらいで、現在なら携帯電話でもできるので、安価で備えられると思う。警察の既存の予算の中から出費してもいいだろう。そして、強い反発も予想しない。無罪の国民を守る為に、そして犯罪者の解放を防ぐための措置としてアピールすれば、一応の賛成が得られると思う。だから、年金の改善より簡単な政策だと言えよう。


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“警察取材録画” への5件のフィードバック

  1. 空のアバター

    おひさしぶりです。
    取り調べの可視化については全く賛成です。
    取り調べの態様について裁判で、弁護側から因縁をつけられることもあり、検察の潔白を証明するために、検察に不利になることもなかろう、それに反対するのはなにかやましいところがあるのではないか、と思われても当然、というのが従前からの私の主張です。

    ただ、ちょっと細かいようですが、海外と事情が多少異なるところもあり、一概に一様に論じることもできない点もあるようです。

    http://blog.goo.ne.jp/kentanakachan/e/7e6051f3fb486fa6577887f92fc13877

    取り調べ可視化 海外調査を論議の出発点に(8月23日付・読売社説)
     
    捜査官が容疑者を取り調べる過程を録音・録画する可視化について研究するため、法務省が今後1年かけて欧米を中心に検事を派遣し、実情を調査することになった。

     国による初の本格的な海外調査だ。対象は米国、英国、フランスなどのほか、可視化を取り入れていないドイツ、開始まもない韓国も含まれる。

     調査結果を広く国民に公表し、可視化の望ましいあり方などを考えていく必要がある。

     警察・検察は、裁判員裁判の対象事件で、部分的な録音・録画を始めている。自白が強制されたものではないことを裁判員に立証する目的からだ。6月までに6件の裁判員裁判の法廷で実際に録画したDVDが再生されている。

     これに対し、日本弁護士連合会は冤罪を防止するには取り調べの一部ではなく、全過程の可視化が必要だと主張している。全面可視化を公約とした民主党政権の誕生で、法務省と警察庁はさらなる検討を迫られているのが現状だ。

     ただ、可視化が定着している諸外国の事情は、日本と異なる。

     英国では逮捕後の取り調べ回数は1回程度で、30分以内で終わることが多いという。陪審裁判で無罪になる確率も高い。一方、早い時期に罪を認めると刑を軽減する司法取引があり、通信傍受やおとり捜査も認められている。

     約3分の1の州が可視化を取り入れている米国でも、司法取引は活発に行われている。

     日本では捜査官が取調室で長時間にわたり容疑者と向き合いながら、生い立ちから犯行の動機に至るまで詳細に調べる。暴力団などがかかわる組織犯罪では、容疑者を説得して上層部の関与の供述を引き出すこともする。

  2. チャート・デイビッドのアバター
    チャート・デイビッド

    @空 様、いつもコメントをありがとうございます。お久しぶりですね。

    今回も重要な点を指摘していただいたと思います。海外の制度をそのまま日本に導入するべきではないと私も思います。司法制度の相違点を踏まえて、日本に相応しい可視化を構えた方がいいです。

    しかし、取調室で長く向き合うからといって、録画しない方がいいとは言えないと思わざるを得ません。先ず、現在の技術でえいがの1時間が1ギガの容量に納められるので、カメラを設置して、付けっぱなしにしたらいいです。そして、取調室の向き合いが長ければ長いほど、むしろ録画の必要性が増すと思う。少なくとも、数十時間の尋問の内、自白の15分しか録画されなかったら、警察側を潔白する効力を完全に失います。
    「録画しなかった時に人権を侵した」と訴えることは創造しにくくはありません。

    ですから、詳細を日本の事情に相応しくしたほうがいいことに賛成ですが、取り調べの長さに合う為にむしろ全面可視化を促進すると思います。

    では、いつものコメントありがとうございます。これからもよろしくお願いします。

  3. 空のアバター

    ありがとうございます

    >取調室で長く向き合うからといって、録画しない方がいいとは言えないと思わざるを得ません。

    全くその通りですね
    最近は、大量の録画もできるようになっているわけですし、少なくも取り調べの会話の音声記録などは、技術的には今すぐにでも全面可視化ーーーというより”可聴化” とでもいうのでしょうかーーーを義務づけることは容易だと思うのです。

    検察の抵抗は怪しい、と思わざるえない。

    今回の私の論点は非常に細かい点でしたけど、日本人でも外国人でも、「欧米では、あるいは、先進国では、しかじかである、従って、日本も同じようにすべきである」という風潮があり、他国の制度を参照にするのはいいものの、この単純な理屈自体はなにかおかしい、と感じているのであえて指摘させていただきました。

    David さんの数々のご投稿は、常識というものが、案外世界共通なものなのだな、と感じさせてくれる点で興味深く拝読させていただいております。ありがとうございます。

  4. チャート・デイビッドのアバター
    チャート・デイビッド

    @空 様、いつもありがとうございます。

    私も、空さんのご意見と賛成です。欧米や先進国が取る方針が日本の方針に参考にするべきですが、必ず真似るべきだとは限りません。それだけではない、途上国がすることも参考になる場合は少なくないでしょう。どこの国を参考にしても、日本の独自の状態を踏まえて実現するべきです。

  5. 空のアバター

    全く同感です。
    途上国も含めて、さまざまな国の”知恵”があり、歴史的社会的条件の違いを考慮にいれて、それをを参照にするのは貴重なことだと思います。