「the」のもう一つの使い方

前にも書いたが、英語の文法の中で一番難しい点は「the」と「a」の使い方だと思う。もう数年間英語を教えたことがあるが、まだ「the」の新しい側面を見つける。最近、生徒さんがひたすら「the」を勉強して、英語のテキストを使ってすべての「the」や「a」の使う根拠を求めた。簡単に説明できる場合もあれば、難しい場合もある。前回「文章の主旨はこのことを紹介することであれば、「the」ではなくて「a」を使うが、文脈や文章で特定できることは文章の前提であれば、「the」を使う」というややこしい側面を説明しようとしたが、やはり難しい。今回、昨日見つけたちょっと難しい使い方を紹介したいのだ。

例文として、「The beginning of any new job is difficult.」を挙げよう。ここで、「any new job」は特定されていない。「any」の役割は不特定の意味を伝えることだ。だから、「The beginning」も特定されていない。この文章から、どちらの仕事の始まりについて話しているか分からない。すべてを指しているとも言えるが、それでも特定された例ではなく、将来に新しい仕事が始まったら、その始まりも難しいという意味も入っている。この場合は、文章自体は一般的で抽象的だから、特定しない。しかし、文章に該当する具体例を考えれば、何の例でも「始まり」は特定されるので、「the」を使う。同じように「The brakes of any car in the garage must be tested」は、どちらの車のブレーキを点検するかを特定しないが、具体的な車を考えれば、どちらのブレーキを点検するべきか分かる。

一方、「The seat of any car in the garage must be tested」とは言えない。車には複数の座席があるので、具体的な車を挙げても、点検しなければならない座席はまだ特定していない。

だから、文章を具体的に使う場合文章や文脈によって名詞の指すものを特定できることは文章の前提であれば、「the」を使う、と言えよう。日本人には難しいことは驚くほどではないだろう。


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