民主主義の基本的な利益

今中東や北アフリカで、社会が混乱に陥って、首相や大統領が相次いで追い出されている。それに伴い暴力が広がり、死者も少なくないし、負傷者は大変多いそうだ。さらに問題になりそうなことは、先行きは不透明だという状況だ。この蜂起で一人の独裁者が追い出されたとはいえ、後継者が国民の意志を尊重するとは限らないので、これからも混乱が続く恐れがある。特にリビアの状況は深刻で、悲劇が繰り広げる可能性は極めて高い。

このような構成の国で政権交代に伴ってこのような破壊が必ず発生する。だから日本の過去の儒学者が「天皇は悪質で残虐であっても、絶対に謀反してはならない」と強調した。要するに政権を落とそうとすれば、被害や犠牲者が残虐な天皇の行為から出る死者を凌ぐからだ。同じように皇室の万世一系を唱えた背景には、壬申の乱のような後継者争いがあると思える。この態度の裏付けには大変重要な事実がある。それは、内乱は弾圧的な安泰な社会より酷いことだ。江戸時代の政権は自由主義的ではなかったことは明らかだし、階級制のせいで農民として生まれた人が自分の才能を尽くす機会はほぼなかったが、前の戦国時代と比べたら百姓にとって極楽だったろう。だから、政権交代が必ず内乱と伴うと思ったら、政権交代自体に強く反対することは人道的だと言えよう。

民主主義の大発明は、国民の意志を聞くことではないと思う。実は、内乱なしの政権交代を恒例にすることだと私が思う。勿論、選挙の結果が国民の意志を繁栄すればよりいいと強調したいのだが、有権者がお金持ちの男性に限っても、残虐な独裁者を平和的に追い出す機能がまだ残る。つまり、儒学者が根本的に間違えた。恐るべき内乱を防ぐ為に、政権交代を防ぐことではなく、政権交代を歓迎して恒例化するべきだ。

現状からこの証拠も読み取れる。中東を見たら、紛争の恐れはない国は一つある。それはイスラエルだ。完璧な社会ではないのは言うまでもないが、本格的な民主憲法だから政府に不満を抱く人が命を賭けて反発する必要を感じない。次回の総選挙まで待ってもいいだろう。

日本も対照的だ。国民が政府に対して深い不満を抱えるようだが、デモは少ない。確かに理由の一つは、不満の原因には首相の頻繁の入れ替わりがあるからだが、野党の政権倒し方法は、総選挙に追い込むことだ。暴力や暗殺は全く不要。

だから、民主主義の欠点を補充すれば、国民が頻繁に選挙で政府を倒すことができる本質を守らなければならない。これさえあれば、内乱が避けられる。


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コメント

“民主主義の基本的な利益” への4件のフィードバック

  1. 空のアバター

    民主主義は民衆の意思による、政権の平和的移譲機能をもつ、という点は全くその通りだと思います。

    >紛争の恐れはない国は一つある。それはイスラエルだ

    →これは国内の内紛ということだろうと思いますけど、ガザ地区など占領地域での紛争問題も抱えており、これが、国際関係の観点からも、地域の紛争の火種になっているようですね。
    民主主義といっても法の支配・基本的人権の尊重がないと大衆による少数者の弾圧が起きて、それが国家の、ひいては国際的不安定要因にもなりかねない。


    日本の過去の儒学者が「天皇は悪質で残虐であっても、絶対に謀反してはならない」と強調した。要するに政権を落とそうとすれば、被害や犠牲者が残虐な天皇の行為から出る死者を凌ぐからだ。

    →天皇制については様々な議論がありえますが、天皇制も、民主主義ほどではないにせよ、政権の平和的移譲機能があるのではないか、と考えています。
    天皇は権力をもたない。しかし、国家の根幹を揺るがすような、時の政権崩壊がおきたときに、民衆の意思あるいは、国家の意思を集約・象徴した権威として、国内の全面的破壊闘争活動、国家の崩壊を抑止して比較的平和な政権移譲ができる。

    もっとも、だからこそ、その権威を悪用する輩もでてくるわけですが・・・

  2. チャート・デイビッドのアバター
    チャート・デイビッド

    いつもありがとうございます。

    様 :

    →これは国内の内紛ということだろうと思いますけど、ガザ地区など占領地域での紛争問題も抱えており、これが、国際関係の観点からも、地域の紛争の火種になっているようですね。

    勿論おっしゃる通りです。但し、占領地域では事実上イスラエル政府の支配下でありながら、選挙でイスラエル政府を替えることはできませんので、民主主義が行っていないと言えましょう。

    様 :
    民主主義といっても法の支配・基本的人権の尊重がないと大衆による少数者の弾圧が起きて、それが国家の、ひいては国際的不安定要因にもなりかねない。

    これも否めません。それは、民主主義の欠点との表現で示唆された問題の一つです。民主主義になるだけで国の問題を一気に解決するわけではありません。

    様 :

    →天皇制については様々な議論がありえますが、天皇制も、民主主義ほどではないにせよ、政権の平和的移譲機能があるのではないか、と考えています。
    天皇は権力をもたない。しかし、国家の根幹を揺るがすような、時の政権崩壊がおきたときに、民衆の意思あるいは、国家の意思を集約・象徴した権威として、国内の全面的破壊闘争活動、国家の崩壊を抑止して比較的平和な政権移譲ができる。

    もっとも、だからこそ、その権威を悪用する輩もでてくるわけですが・・・

    それもそうかもしれません。しかし、平将門の乱や戦国時代や明治維新の時の西南戦争などを考えれば、大変有効であったとは言えないでしょう。民主主義の国が出兵して他の国を侵略することは、また民主主義の欠点の一つだと言えましょうが、内紛が非常に少なくなる。

  3. 空のアバター

    返信ありがとうございます。

    天皇の歴史上の役割についてはいろいろ議論があるところでしょう。
    私の高校の時の歴史の教師は、天皇制反対論者、昭和天皇戦争責任論者でしたけど、私はとくに天皇崇拝論者でもなくまた、とくに敵視もしていていません。

    たしかに、西南戦争

    http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A5%BF%E5%8D%97%E6%88%A6%E4%BA%89

    のような大きな内乱があったという点で、内紛の平和的解決という意味では限界はありますが、

    しかし、大政奉還
    http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E6%94%BF%E5%A5%89%E9%82%84

    という形で比較的穏やかに政権移譲ができた。戦後においても昭和天皇個人の地位は一時危うくなりましたが、しかし、天皇制護持ということで国はまとまっていった。

    非常に消極的な意味でしかありませんが、無力な中心をもつことで、国家の存亡危機のときその分解・解体を抑止して国家をまとめる機能があるのではないか、と感じています。

  4. チャート・デイビッドのアバター
    チャート・デイビッド

    @空様、 いつもコメントを書き込んでくれてありがとうございます。拙ブログの活気になります。

    私が空さんと同意します。日本の天皇やイギリスの女王のような実力のない中心が民主主義な国家で貴重な役割を担うと思います。