最低賃金の引き上げ

この政策は簡単だ。最低賃金を1000円まで引き上げることだ。もちろん、一気に上げたら中小企業が特に苦しむので、段階的な引き上げは必要だ。そして、厚生労働省のホームページによると、最低賃金が都道府県によって異なるそうだから、それにも配慮した方がいい。最低賃金といえば、最低だから、ベースは島根県や宮崎県などの642円にするべきだ。つまり、最低賃金を358円引き上げる提案だ。五年間で実現しようとすれば、一年目に78円引き上げて、それから毎年70円引き上げる計画にしたらいいと思う。そうすれば、東京都の最低賃金が1179円になる。時給がこのレベルにしたら、年に50週間、週に40時間働いたら、島根県での年収が200万円になるし、東京都で236万円弱になる。

この政策を「機会均等」というカテゴリーに入れたが、それに理由がある。最低賃金が低すぎたら、そのような職業に就くことになった人が仕事以外なことをできなくなる。生計を立てる為に働くばかりになるのだ。だが、そうであればもう機会が無くなる。何の機会でも、活かすために時間は必要だ。夕方や週末や休みがあれば、頑張ったらできるが、それはないと何もできない。だから、資産のない貧しい家族に生まれた人の機会均等のために、貧しさに制限を置く必要がある。自由市場の大前提は機会均等であり、このような制度が市場の自由を一切侵害しない。

それに、他の利益も期待できる。比較的に低い年収の人が収入のより高い割合を国内で出すそうだから、そのような人にちょっと多くなった収入があれば、内需が高まる。そして、所謂貧困ビジネスに終止符を付ける政策の必要な一部だとも言える。

財源は不要だが、経営者からの反発は簡単に予想する。それを乗り越えるしかないと思う。もし業界の破綻と繋がりそうであれば、救済制度を設定してもいい。もちろん、この制度で経営者に法定の最低賃金を給付する。機会を奪うレベルの賃金を給与することは、人間を掠る行為だから絶滅させるべきだ。しかし、法律はなければ、自由市場で賃金を単独で引き上げる会社が競争力を失う恐れがあるので、政府が指導しない限り期待できない。

そうすれば、経済への影響は小さいと思えるのではないか。なぜなら、賃金が経済から引き出すことはないからだ。むしろ、すぐに消費する人に与えるので、経済に回すことだ。企業の経費が確かにちょっと上がるが、同じように売り上げが上がると推測する。近代工場を発明したフォードも同じように思ったそうだ。工場で作った車を大衆に売ろうとしたので、自分の工場で働く人の給料を車が買えるレベルに設定するべきだと述べたそうだ。失業のリスクを警戒する人もいるが、労働力は必要であれば、リストラできない。それより、賃金をカバーするために値上げにするしかない。確かに、ちょっとインフレに繋がる可能性があるが、最近の日本では、脅迫するのはインフレではなく、デフレだから、それも大きな問題ではないだあろう。それに、私の周辺でアルバイトなどの広告を見たら、相場の時給はもう900円台になったようだから、数字で見る引き上げより実質的に低い可能性も高いだろう。

問題が起きても、人間を掠ることに基づいた経済を継続するべきではないので、なるべく早く改革を始めるべきだ。だから、この政策を勧めたい。


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コメント

“最低賃金の引き上げ” への2件のフィードバック

  1. 空のアバター

    最低賃金の問題は難しい問題ですね。

    おっしゃるように、最低賃金を引き上げることの利点は多い。特に経済成長著しい社会ではそれもうなずけるのですが、そうでない場合、ご指摘のように会社がもたない、とか、かえって失業率が高くなる、とか、いう経済学者もいる。 

    私は経済にうといのでなんとも結論めいたことはいえません。

    日本ではCEOと普通の従業員の所得格差は欧米ほどでないようですが、それでも、こっちの高所得の方を下の従業員に自発的に少しでもまわしてあげられる、”社会倫理”があってもいいように思う。

    高所得者に高い税率をかけると海外へ頭脳流出がおきるともいわれますが、最低賃金を上げるにせよ、高所得者に高い税率をかけるにせよ、法律でそうした規制をすると、企業の躍動性・機動性がかえって減退するような気もしますし、法律よりもむしろ文化的に行動を律するというあり方もあってよいような気もします。

    だからといって、では、そうした文化を醸成するにはどうしたらいいか、という案もないのですが・・・・たんなる感想です。

  2. チャート・デイビッドのアバター
    チャート・デイビッド

    @空様、 コメントをありがとうございます。

    私もそのような文化があればいいと思いますが、法律の設定にはメリットがあると思います。そのような「社会倫理」に従おうとする経営者がいても、自分の会社のコストが上がったら、競争力を失う恐れは多いですので、社員の解雇に余儀なくされないよう賃金上げを避けることも創造しやすいです。一方、法律であれば、競争力には損になりません。

    確かに難しい問題ですし、皆の収入を統一することは良くないと私も思いますが、現在の最低賃金で、経済の問題が弱者に回されるように思わざるを得ません。