真由喜の毛筆を作ってもらった。毛筆は勿論産毛で作られたので、今貰ったらちょっと遅いなと思う人もいるだろう。併し、準備は必要だった。
先ずは、真由喜の髪の毛が伸びる待たなければならなかった。筆にはかなりの髪の毛が必要になるので、髪の毛が長くならないなら、赤ちゃんが坊主になってしまう。江戸時代なら、それは習慣だったそうだが、今は違う。これでもう一年間以上がかかった。そして、筆の種類やデザインを選ぶ必要もあったが、確かに数ヶ月悩む必要はなかった。
一方、箱の中にある飾りには時間が必要になった。先ず、家紋を入れることができるが、チャート家には伝統的な紋はない。それに、書店で入手できる家紋辞典には、「チャート」は掲載されていない。(はずだ。実は、確認しなかった。)だから、私が家紋を発想することになった。結局辞典に見つけた「結び文」というデザインを使って、三つを組んで亀甲の形になった「三結び」の紋を作り上げた。
そして、筆の軸に8文字のメッセージを入れるので、カタログの例文より個人的な物を作成した。「芯の愛が包まれる」にした。筆も箱に包まれるし、真由喜も包まれるし、愛の芯も日常的な世話などに包まれることを指す表現だ。
最後に、蓋の中に20文字までのメッセージが書かれるが、ここで短歌にした。
筆先が命の道を画いたら
真心持ちて自由と歓喜
真由喜の筆に相応しいと思うし、伝える意味もいい。ただし、また時間がかかった。
だから、三年半がかかったが、結局出来上がりになった。真由喜に見せたら、真由喜が「使いたい!と言ったが、断った。真由喜が大きくなったら、なぜ使うわけにはいかないか分かってくると思うね。