5月号の『選択』によると、3月23日に最高裁が2009年の総選挙に対する「一票の格差」の訴訟において、「違憲状態」との判決を下したそうだ。これは重要な判決だ。
「一票の格差」というのは、小選挙区の有権者の数を指す表現だ。小選挙区の人口が低ければ低いほど、一票の重さが増すのは言うまでもないだろう。だが、日本の制度で2.3倍の格差があるそうだ。要するに、住む場所によって、同じ人口に当たって議員が一人か二人かの差があることだ。実際に、田舎には議員は割と多いそうだが、このような差が国民の法律下の平等に抵触する可能性を指摘した運動家は多かったが、今回最高裁でも賛成を得た。次の選挙の前に選挙区を再編しないといけない状況になったので、問題の是正を期待できる。
しかし、2009年の選挙は違憲だったとの判決だったのに、選挙を無効とする判決ではなかった。『選択』の記事がこれを歎く。この点で、私が賛成できない。2009年の選挙を無効にしたら、現役の衆議院が当然権利を失う。当分の間続投するしかないかもしれない、その法律的な根拠は曖昧だろうから、最急務になるのは、選挙区の再編と総選挙になる。東日本大震災から2週間以内政府にこのような政治的な混乱を起こす筈な義務を課すのはいかがなものか。政府の最急務は、明らかに東北の復旧と復興だ。この事実に配慮して、最高裁がこの判決を下したのではないか。
確かに合理的ではない。選挙は違憲状態だったら、当選した人は本当に当選しなかった。模擬選挙に過ぎなかったからだ。だから、「違憲状態だったが、有効だ」というのは、記事が訴える通り矛盾を抱える。それに応じて、「無効だったが、失効猶予にする」判決はどうか。下すことはできるだろうが、政府の地盤を揺らがすので、復興との取り組みに悪影響を及ぼす懸念もあると思う。それに、次回の定期的な総選挙は遠くないので、猶予にすれば、発生する臨時選挙が定期的な選挙と重なる虞れがある。それに、選挙区の再編には少なくとも数ヶ月がかかると推測するので、最急務にしても選挙がそれほど早めないだろう。一方、実にあった判決のように、次回の選挙の前の是正を課せば、少なくとも原発事故の収束と仮説住宅の建設ができたら手を回してもいいし、新しい選挙まで待つ時間は長くない。
だから、私が最高裁の判決と同意する。一票の格差は本当の問題だから、是正するべきだが、今政府の最急務にするべきではない。最高裁が判決した通りしたらいいと思う。
コメント
“違憲な選挙” への2件のフィードバック
これ「事情判決の法理」と呼ばれています。
http://oshiete.goo.ne.jp/qa/3535877.html
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%8B%E6%83%85%E5%88%A4%E6%B1%BA
@空様、コメントをありがとうございます。やはり特別な言葉がありますね。このような措置は必要だと思いますが、使いすぎないように気をつけなければなりません。