領土問題の早期解決

今週の『神社新報』の論説で領土問題について「国土愛し早期解決を」求められる。でも、具体的な解決方法に触れずに終わるし、よく考えたら極めて難しい問題だ。少なくとも、早期解決はそもそも無理なのではないか。

解決に向ける行動を考えよう。

先ず、戦争を起こして、武力で取り戻す。先ずは、考えるわけにはいかない。尖閣諸島のために国の存在を危うくするのは許せないし、無人島の為に人を犠牲にすることも認められない。それに、仮に戦争が成功に終わるとしても、領土問題を解決しない。尖閣諸島は事実上日本の管轄下にあるが、まだ領土問題の一環として取り上げられる。武力で取れるのは、事実上の管轄に過ぎない。だから、これは違憲で、倫理違反で、解決できない手法だから、忘れよう。

では、裁判所で中国やロシアを相手取りにして、日本の権利を認めてもらう方法はどう?あいにく、拘束力がある国債の裁判所はない。所謂ICC(国際刑事裁判所)には拘束力があると条約が主張するが、事実が異なるし、アメリカに認められないし、中国にも認められない。だから、この方法も存在しない。

また考えよう。癇癪はいかが?中国の大使館の前で「我が物を返せ!」と叫ぶなどの行為。真由喜がそうすれば効果は薄いので、中国を相手にして試みても結果は期待できないだろう。

もう一度「解決」を考えよう。北方領土の場合、もちろん解決の一部は日本が北方領土を管轄するようになることがだが、尖閣諸島の問題を考えたら、それだけが足りないのは明らかだ。解決と言うのは、相手の国が日本の権利を公式に認めることだ。対馬について領土問題はない理由は、韓国が日本の権利を認めることから発生する。対馬を取ろうとする韓国人がいると思えるが、韓国が国家として対馬を日本の領土として認めるので、領土問題にならない。

認めてもらう為に、どのような手法があるのだろう。

一つは、怒らずに、合理的に、丁寧に、我慢強く、自分の主張を繰り返して、そのあげく相手が自分の誤りを認めて、日本の権利も認めてくれる。これを楽観的でバラ色の眼鏡の話だと払拭する人がいるだろうが、やっと効いた場合もある。ただし、早期解決に繋がる場合は一切ない。特徴は、数百年がかかる場合もあることだ。だから、この方法で『神社新報』が満足しないはずだ。

それ以外、交渉しか残らない。しかし、交渉を成功に運ぶために、妥協案は必要だ。妥協と言えば、領土を一部譲渡することになる可能性は高い。これは、「国土を愛し」解決に当たるのかな。確かに、ベトナムなどの中国と領土問題を抱える国と組んで、お互いに中国に対する権利を求めて、中国に圧力を掛ける道もあるが、中国に何かの利益も提供しない限り、日本の単独主権を認めてくれる筈はないだろう。それでも、時間がかかる。五年間で解決を期待しないほうが現実的だと思う。

結論をいえば、「国土愛し早期解決」が幻想にすぎないし、政治家がその事実をよく知っている。だから、求めることは、無視される状況を確保するしかない。


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コメント

“領土問題の早期解決” への2件のフィードバック

  1. 空のアバター

    いわゆる領土問題というのは、北方領土、尖閣諸島、竹島とあるわけですけど、尖閣諸島に関しては、実効支配を強めていけば、それでいいとは思います。
    北方領土に関しては2島返還はロシアも同意するかも知れない。
    竹島は無理でしょう。

    ただ、韓国の場合は、反日的民族主的宣伝があるので、それについて、歴史的真実は国際的に認知させておく必要がある、と考えています。

    領土問題はナショナリズムを煽るために利用されたり、それで、双方の国際関係が悪化することも多いので、要注意だとは思います。

    議員もわかって利用しているふしがある。

  2. チャート・デイビッドのアバター
    チャート・デイビッド

    @空様、いつもありがとうございます。おっしゃる通り、ナショナリズムを煽ろうとする人は少なくないと思いますので、領土問題を慎重に考えたほうがいいですね。領土より大切なことがあります。それは、国民で、文化です。その典型例はユダヤ人でしょう。長い間領土を奪われ、弾圧の中で民族と文化を維持してきました。一方、今のイスラエルは領土問題ばかりになってしまいましたね。

    私も、北方領土の一部をロシアに譲渡して問題を解決した方がいいのではないかと思いますが、詳しくありません。60年あまりで土着したロシア人の住民も問題になりますね。日本国籍を無差別で与える方針には人気度が高いと思いませんし。

    とにかく、複雑で頑固な問題ですからこそ、早期解決は望めないと言いたかったですね。