人口減少の問題点

先日、人口減少の利点についてちょっと触れたが、問題も発生すると否定できない。そのような問題とどうやって取り組めるか、ちょっと考えたいと思う。

一つの問題は、人口が減少すれば、国内総生産も縮小する可能性は高いことだ。前に述べた通り、一人当たり国内総生産の水準を維持すれば、国民の生活の失が劣らないが、総額が関わることもある。顕著な例は国債だ。日本の現在の債務は、現在の国内総生産の二倍ぐらいだが、一人当たり国内総生産を維持しながら人口を8000万人に減少させれば、三倍になる。それは、債務額が一切増えないことを前提とする計算だが、赤字国家が続けば、そうではない。国債の総額が1.5倍になったら、国内総生産の4.5倍にもなる。それほどを債務を返済する筈はないだろう。そして、金融市場の問題が日本に及ばない理由として、日本の国債の9割ぐらいは日本の国民に持たれる現実が挙げられるが、その反面で国債が不履行になったら、国民にツケが回る。国民を苦しめないことは政権の第一の責務ではないとしても、かなり高い優先順位を持つに違いないので、これは問題だ。

解決策として、国内総生産をなるべく維持することは重要だろう。人口が2050年までに8000万人に減少するとしたら、平均で毎年1パーセント減るが、逆に一人当たり国内総生産の成長率を毎年1パーセント以上を維持すれば、国内総生産の総額が減らない。それでも、この20年間の日本の経済を見たら、この1パーセントでも現実味は確かに濃くない。それに、これに成功しても、債務はまだ国内総生産の倍以上のままだ。2パーセントができれば、国内総生産が1.5倍になるが、債務はまだ1.3倍だ。それは、国債発行を完全に来年度から避けることを前提とする計算だから、これも現実ではない。

もう一つな方法は、インフレを促すことだ。円の価値が半額になれば、債務も半額になる。しかし、国債の債権を持つのは、国民だ。だから、この解決策も国民を苦しめる。

つまり、国債の発行の大前提は、国内総生産が成長し続くことだったが、人口減少を視野に入れたら、それは望めなくなる。だから、国家の運営を赤字から脱出させる必要があることになる。そうする為に単なる増税と削減に拠れば、それも国民を苦しめる。国家の運営には今まで間違いがあったと認めざるを得ないので、苦戦なしに脱出できるとは思えないが、国民を苦汁を飲ませることを最低限に抑えるべきだ。

一つの政策は、無職の人を減らすことだ。社会保障などを必要とする人が減れば、政府の歳出も減るが、だれも苦しまない。これで年金改革も含まれる。もう一つの可能性は、医療に知恵を絞ることだ。病気の予防に努力すれば、医療費が長期的に減る可能性もある。それに、老後元気に暮らせるような体調を整える為の知恵を普及すれば、介護費も減らせるだろう。このような政策の一つで問題を払拭することは期待できないが、増税や削減を緩和する可能性は充分あるし、政策の結果自体も望ましい。

それでも、問題を認めて、悪戦苦闘する道しか開かないだろう。


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