帝国を顧みて

今日のGuardianのホームページに大英帝国についての記事が載った。主旨は、大英帝国は残虐で植民地の原住民を弾圧したり抹殺したりしたので、誇るべき側面は一切ない、と。コメント欄に意見が分かれて、作者を強く批判する意見は多い。Guardianはそもそも左翼の新聞だから、記事と同意する意見も多い。

日本の場合と酷似する。「大英帝国は悪かったが、フランスやベルギーの帝国のほうが酷かった」との意見も出てくる。そして、「もう歴史だから、わざわざ沸き起こさなくてもいい」との意見も。確かに大英帝国の場合、19世紀前半の出来事は多いが、20世紀前半の問題も少なくないので、これも日本の場合と同じなのではないか。

大英帝国の歴史には虐殺があるのは否めない。インドで1857年の虐殺や1919年の虐殺は特に有名だ。同じように、日本の帝国の歴史にも虐殺がある。南京事件の犠牲者は最低数万人だったそうだから、虐殺より他ならない。無視できない罪だ。大英帝国のインドでの1857年の虐殺は同じ規模だったそうだ。(数十万人の犠牲者のではないか。)

だから、日本の帝国は他のヨーロッパの帝国とほぼ同じレベルだったのではないかと思ってきた。ヨーロッパのほうが悪かっただろうとも言える。なぜなら、ヨーロッパの帝国が原住民を完全に絶滅した場合があるが、日本の帝国がそれまで至らなかったようだからだ。韓国人や中国人はまだいるし。日本は普通の国であるように見える。普通だったと言えども、許すわけはない。英国も日本も罪を犯したので、現代の対応を考えなければならない。簡単ではない。罪を直接に犯した人はもう死んでいるし、当時の国家体制も抜本的に変わったので、現在のイギリス人や日本人には「責任」があるかといえば、少なくとも明らかではない。(特に、イギリス人の場合、現在のイギリス人には罪の被害者の子孫が含まれるはずだ。)

でも、歴史の教訓の一つとして、帝国と罪が伴うことだ。それを受け入れて、将来に帝国を避けるべきだ。


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コメント

“帝国を顧みて” への3件のフィードバック

  1. 小太郎のアバター
    小太郎

    大英帝国と大日本帝国の違い。

    大東亜戦争の真実


  2. チャート・デイビッドのアバター
    チャート・デイビッド

    @小太郎様、コメントをありがとうございます。

    ビデオを見ましたが、違いは見えませんでした。大英帝国の一つの側面しか見せずに、大日本帝国の片面もしか見せませんでした。大英帝国もインフラなどの文明開花を促したと言われますし、インドの鉄道は大英帝国の時代に構築されたのは否めない事実です。一方、当時にも韓国や中国で日本の占領軍に激しく抵抗した人もいましたし、南京事件もありました。

    ですからこそ、大日本帝国は欧米の帝国と大きく変わらないと言いました。全ての詳細を調べたら酷さや善さを区別できるでしょうが、詳細を見なければなりません。

  3. 空のアバター

    第2次大戦にせよ、植民地主義にせよ、いまに生きている人が当事者でない場合がたいていなので、かえってそれほどびくびくする必要はない。むしろ、歴史的事実を認めて素直に反省する態度をとったほうが世界から信頼される。

    ところが、いわゆる歴史問題が往々にして現在の政治問題になってしまう。そこがまずい、と思います。

    もっとも、歴史的記述 narrative は歴史的に、自国の政権を正当化しようとする政治的な意図のもとに描出されたものが多いわけですが・・・・