女性の宮家

皇室典範の改善を巡って、女性の宮家が話題になった。今の法律で、皇室の女性が結婚すれば皇室から除外される。臣民になる。一方、皇族の男性が結婚すれば、結婚相手の女性が皇族に入る。この制度の男女差別性を訴える人も少なくないが、今の危機になりそうな問題は別だ。

問題は、皇族の30歳以下の方の間に、男性は一人しかいない。(悠仁親王殿下だ。)女性が結婚したら、皇族が一人になる可能性もある。それに、憲法で天皇の役割が定められる。判断力は一切ないけれども、天皇がいなければ内閣の発足などはできない。天皇が病気になったら、代行者を任命することができるが、代行者も皇族のかたにならないと行かないそうだ。つまり、皇族が一人まで縮小してしまえば、日本の行政も立法も危機に陥るそうだ。

皇族の女性が結婚して皇族のままで続くことにすれば、危機がちょっと先送りになる。それで長期的な解決策を探る余裕ができるので、いいことだが、長期的な解決策ではない。

壁は女系天皇の問題だ。日本の歴史には女性の天皇はいるし、重要な役割を担った。推古天皇と持統天皇は特に日本国の構成の画期的なところで皇位に就いていた。だが、跡継ぎはいつも男系だった。持統天皇の跡継ぎは持統天皇の孫だったが、持統天皇は天武天皇の皇后だったので、持統天皇の孫は天武天皇の孫でもあったので、男系は保たれた。推古天皇の前の皇位の経緯は不明だが、男系の継承が少なくとも1300年ぐらい続いてきたと言えるので、この伝統を廃らないほうがいいだろう。

しかし、若い男性の皇族は一人しかいないなら、それが無理になる。127代の天皇が最後になる恐れは現実的だ。

これをきっかけに皇室を廃止してもいいと思う人もいるが、私は伝統を保存する方だから、そう思わない。

「皇位が神武天皇から途絶えず」と言われるが、神武天皇は実在ではない問題を置いておいても、ずっと父から子へ継承されたかというか、そうではない。神話でもそうだ。日本武尊が天皇にならなかった(記紀によると。実は、常陸の国の風土記で「天皇」と称される)が、息子が仲哀天皇になった。歴史にもこのような例は多い。天武天皇は有名だろうが、平安時代にも同じ現象がある。だから、歴史と伝統を尊敬しながら解決する方法は、臣民にされた男系の元皇族を皇族に復帰することだ。これにも前例がある。宇多天皇が臣民になってから、皇族に復帰して即位した。

でも、ここにも問題がある。それは、対象になる人が皇族になりたいかどうかという問題だ。皇族であることは楽ではないと思われる。無理矢理その位を押し付けるのは憲法違反だと思える。(職業の自由に違反するからだ。)だから、交渉になる。交渉の結果は、国費の造化と繋がるので、透明性を保つべきだ。しかし、皇族の「雇用条件」を交渉することは、皇位の名誉に接触すると思い難くないのだろう。少なくても、保守派には抵抗感があると予想する。

私の個人的な意見は、伝統と現在の社会を尊敬するために、皇位の継承を男系に限るべきだが、男女を問わずに即位させるべきだ。つまり、継承順番が今のところ皇太子殿下、愛子内親王殿下、秋篠宮文仁親王殿下、眞子内親王殿下、佳子内親王殿下、悠仁親王殿下になる。そして、皇族復帰を交渉の上で確保して、皇族の存続を保証する。保守派にはこれほどの変化は好ましくないかもしれないが、何かしないと百年以内皇族が途絶える可能性は5割に近いだろう。


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