中尊寺鎮守の白山神社

朱塗り鳥居と注連縄の向こうに、杉と参道十月に平泉へ旅行したが、当時このブログで紹介した。平泉で有名のは、お寺だ。有名な神社はない。しかし、神仏習合の時代に建立されたお寺には、必ず鎮守の神社が付いていると言えよう。平泉の中尊寺{ちゅうそんじ}は例外ではない。金色堂{こんじきどう}に近く鎮座する白山神社は中尊寺の鎮守だ。中尊寺を訪れた時に、勿論お参りした。

神社の伝承によると、850年に慈覚{じかく}大師によって関山{かんざん}に遷座されたそうだから、かなり歴史のある神社だ。御祭神は、イザナギ命とイザナミ命であるそうだが、石川県の白山本宮の勧請だとも言われる。白山本宮の御祭神は菊理媛尊{くくりひめのみこと}だから、単純の勧請ではないと思うしかないが、菊理媛尊が黄泉の国の神話と関わる神様だし、イザナギとイザナミの仲介役をしたそうだから、無関係ではない。そして、明治維新の神仏分離の時代に、記紀に登場する神様が全国の神社の御祭神にする動きがあったので、御祭神の話は明治時代からかもしれない。

150年以上前の能楽殿
能楽殿
境内や建物と言えば、境内には1853年に建てられた能楽殿がある。近世の能楽殿として珍しいので、国の重要文化財に指定されたそうだ。実は、社殿より存在感がある建物だが、今でも奉納能楽や他のイベントが開催されるようだ。能楽と神道の関わりは深いし、能楽の誕生まで遡るので、相応しいと言えよう。

本殿は大きくないが、特徴がある。それは、拝殿の前に茅の輪が立つことだ。夏越の大祓と年越の大祓の時に茅の輪を設ける神社は少なくないが、白山神社の茅の輪は常設のようだ。10月は大祓の間だから、取り外せば少なくとも10月にないと思えることは推測の根拠の一つだ。お祓いは神道の中枢になるし、茅の輪がお祓いを象徴するので、常設にしても問題はないが、また特徴だ。神社にお参りすれば、特徴を見つけるのは鉄則ほどだ。

茅の輪が立つ社殿
社殿と茅の輪
本殿の他、境内に十二支の守護神を祀る祠がある。一柱ずつの祠ですので、二列で十二が並ぶ。他の神社にも十二支に因む祠などが見えるが、この白山神社と特に縁があるか分からない。これも、この神社の特徴だろう。亥年の私と真由喜が一緒に亥の祠にお参りした。

神職がいたので、御朱印をいただけた。新しい御朱印帳に納めた二つ目の御朱印だから、授与した神社の御朱印に続いて本格的に使うようになった。この白山神社の御朱印は面白い。恒例の印鑑のような印もあるが、その下に能楽殿と杉が描かれる朱印もある。ちょっと丸めた縁の上に「国重要文化財中尊寺白山神社能楽殿」が書いてある。スタンプラリーみたいと思うかもしれないが、形を見たらお寺の宝珠型の御朱印を思わせる。歴史と鎮座地を考えれば、これは偶然ではないと思う。

この神社の雰囲気はよかった。境内は関山の山頂に近いし、杉は多いので、自然の中の影響かと思ったら、同じような要素が揃った雰囲気は特別ではなかった神社にもお参りしたことを思い出す。そして、かんざん亭という休憩所は神社に隣接するので、大自然に浸された感じにもならない。神社の雰囲気は、本当に不思議なことだ。


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