遷宮とは何か~神道を知る講座VIII第1回

先日、國學院大學で今年度の神道を知る講座が始まった。今年とテーマは、遷宮を中心に伊勢の神宮と出雲大社を紹介することだ。第1回は、その背景を説明する講座だった。この講座は、オープンカレッジの一部として、初心者も参加できる構造だから、7回目になった私にとってよく知っている内容も入っていた。

神社で常設の建物を備えるようになったのは、仏教を到来の6世紀からだと言われるが、この建物を社や宮と呼ばれる。遷宮というのは、宮を遷すという意味で、神様を一つの宮からもう一つの宮へ遷すことだ。特に、建物を修理する場合、工事中神様が別なところにいるようにすることだ。祭りのお神輿進行も遷宮と関係ある行事だそうだ。だから、遷宮の儀式が修理の必要性から始まったのではないかと考えられているようだ。

伊勢の神宮で来年行われるのは、式年遷宮だ。「式年」といえば、定まった年に行うという意味だから、20年に一度のことを指す。出雲大社でも式年遷宮のような儀式があって、60年に一度だ。両方、来年完了するそうだ。

史料を見れば、神宮の式年遷宮が690年に始まったそうだ。当初、内宮の遷宮が終わったら、2年後外宮の遷宮を行ったそうだが、それは遷宮の費用を賄う農民の負担を軽減するためだったと岡田先生が説明した。奈良時代に鹿島神宮と香取神宮も式年遷宮を行ったし、他の神社もそうだった。近世まで奈良の春日大社で完全な遷宮があったが、建物はそのまま近辺の神社に譲られたので、現在春日大社の歴史的な建築は、他の奈良県の神社で見えるそうだ。現在、完全な遷宮を行うのは、伊勢の神宮のみだそうだ。神宮で、一から新しい神殿などを建てて、遷宮の後で古い宮を完全に取り壊す。他の神社で、出雲大社を含めて、部分修理に止まるそうだ。

ところで、岡田先生が指摘した通り、伊勢の神宮のような式年遷宮は、仏閣でありえない。東大寺の大仏殿を20年に一回完全に取り壊すことはできない。それに、神宮で神宝というものも、式年遷宮に当たって作り直す。お寺では経済的には無理だろう。岡田先生によると、神社はそもそも貧乏だから、遷宮は可能だ。極端の話で、神社で柱しか要らないので、再建することは、可能な範囲に入る。

神宮の式年遷宮は20年毎に行われる理由について、諸説あるそうだ。一つは、堀竪穴形式の建物の寿命だと言われる。もう一つは、技能を継ぐためにちょうどいい間隔であること。そして、遷宮が始まる前に天皇は一代一宮制度だったので、遷宮は都の代わりに神宮が一代ずつに遷ること。690年に何が主な理由だったかは、もう理解できないだろうが、間隔をなるべく維持する理由は多い。もちろん、完璧に維持してきたわけはない。戦国時代には120年の空白があるし、大東亜戦争の後でも、遷宮を数年遅らせれた。それでも、原則として20年に一度のパターンは維持されてきた。

講義の最後に岡田先生が神宮の式年遷宮の様子を映る動画を見せた。暗闇の中でご神体が神殿から神殿へ遷る儀式は、すごい。

この第1回の講義で新しい情報はほとんどなかったが、これからの講義で考古学などから伊勢と出雲の信仰や遷宮について詳しく教えてもらうので、楽しみにしている。


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