何かを非常識として批判することは少なくない。先日、日本の最近の教育方針を「非常識」として批判して、より伝統的な方法を導入するよう促す本の紹介を読んだが、常識を基準とするのは極めて危険だ。なるべく避けるべきことだ。
なぜなら、常識が間違っていることは多いからだ。
歴史的な例を上げたら、6百年に太陽が地球を回るのは常識だったが、間違いだった。150年前に白人が生まれながら日本人を勝ることも常識だったし、100年前に男性が女性を勝ることも常識だった。先日のNHKのラジオニュースにも例があった。最新の研究によると、幼稚園で体躯のレッスンを導入すれば、幼児の体力が劣るそうだ。体育のレッスンの変わりに自由な外遊びをさせたほうが効果的だ。研究者によると、レッスンで説明を聞いたり順番待ちしたりする時間は長いのではないかと推測したが、原因が調べられても、結果はそのままだ。レッスンを導入すれば、劣る。それは非常識だと言える。レッスンで運動させると体力が増すのは常識なのではないか。それでも、間違いだ。
だから、教育でも一般的に政策でも常識に頼るべきではない。科学的な研究の成果を見て、導入するべきだ。それでも気をつけなければならないこともあるが、それは研究の方法や対象が本当に実践問題に当てはまるかなどの問題で、研究の場合、検討できる。常識に依れば、問題を発見する方法は何もない。常識が現実に合う場合も確かにあるが、信憑性はかなり低いので、疑うべきだ。方針の裏付けにはなれない。