この投稿で、城内実先生の『政治家の裏事情』の本についてまた書きたいと思う。今回、第二章の『政治とカネのはなし』について論じる。
政治とカネは、よく問題になる関係だ。この章で、問題の背景が明らかになると思う。選挙運動には少なくとも数百万円のお金は必要であることを述べ、そのお金の使い道も詳しく説明する。そして、政治家への献金の源の種類を分類して説明する。政党交付金、後援会などの構造が分かってきた。無所属の政治家が団体から献金を受けることはできないことで、ちょっと驚いた。もちろん、密着な関係で賄賂に等しい献金を防ぐのは必要だが、無所属な政治家によりハンデを付けないほうがいいのではないかと思った。
では、この章から三点を取り上げたい。
先ず、城内先生が勧める政治資金の管理方法に賛成する。それは、秘書に任せっきりではなく、議員本人が会計の全てを見て、問題がなかったら認印を捺す方針だ。そして、民間の会計士にも監視をしてもらう。政治か、特に当選した議員は、公的な役割を担うので、自分を支えるお金の流れを把握する義務が生じる。問題があれば、秘書に転嫁するわけにはいかないので、問題が生じないように監視するべきだ。もちろん、議員には会計の詳細を管理する余裕はないし、より重要な仕事があるので、詳細には問題が発生しても議員の責任にしないほうがいいが、少なくとも100万円単位をお金の流れを把握しないと、批判するしかない。
実は、私が城内先生に教え始めるときに、先生が私の外国人登録証明書で私の在留資格を見せてもらった。お金の管理と同じように、雇う人が不法労働者ではないことを確認するのも大事だからだ。このような責任感がある方だ。
そして、第二は、政党交付金のことだ。城内先生が廃止を勧める。なぜなら、政治家は応援する人によって支えられるべきだからだという。そして、税金の一部を政党に流すことは、この財政状況で問題視するそうだ。説得力がある主張であるのは否めない。
しかし、完全に賛同できない。政治家にはお金は必要不可欠であることは事実だ。そのお金は、どこかから得なければならない。百万円単位か千万円単位かのお金は、気軽に一般住民から集めるわけはない。政党に必要の億円単位の資金はまさにその通りだ。だから、団体や富者から支援を受けなければならない。だが、そうなれば、資金の大部分を提供する人にはかなりの影響力がある。富者は誠実で、政治家に圧力をかけないように気を使っても、政治家がその人に配慮するのは当たり前だ。決裂になったら、資金に苦しむからだ。団体も同じだ。民主党と労組の関係はよく報じられるが、自民党と経団連の関係も同じだ。この状況になったら、国益ではなく、政治家を支援する人の利益をちょっとでも優先するようになる。もちろん、理念がある政治家が国益に背いて後援会の便宜をはかるわけはないが、選択はちょっとでも難しくなったら、支援者に都合がいい方に傾くのは当然だ。富裕層にはもう影響力は充分だから、より増す必要はない。極端な例として、アメリカの政治を挙げよう。
だから、国家から政治家がお金をもらったら、有権者一般を考えることになる。確かに問題がゼロにならないが、支援者の利害が国益と沿わない場合、国益を選ぶがより簡単になる。
つまり、政治資金の調達方法には問題があるが、国家からの交付金に伴う問題はより小さいのではないかと思う。民主主義と離別できない問題だし、一番いい解決は確かに明らかではない。
最後に、この章で考えさせられたことについてちょっと述べる。城内先生が一部の題として『金持ちになりたいのではない、選挙に勝ちたいのだ』という表現を使う。政治家の選挙運動の重要性が浮き彫りになる。これは、民主主義で政治家の義務だ。国民の意志を問うのは、民主主義の基本だから、選挙を無視するわけにはいかない。
しかし、選挙運動は国家の運営と大きく違う。それに、国家の運営の国会議員の仕事の側面から考えたら、街頭演説は時間の無駄遣いよりほかならない。必要な知識にもならないし、いい政策の採取にも繋がらない。それに、選挙に勝利する資格と国家を導く資格が大きく異なる。選挙に勝つ為に人にいい印象を与える必要があるが、それが特に国の運営と関係はない。だから有名人がすぐに当選するが、国会議員としてあまり役に立たない場合もある。
問題は、政治家に本当に求められることは、国家を賢明に指導する能力や決断力だが、それは選挙で勝利する能力と異なる。それでも、選挙に勝利する能力を持つ人が国を指導する能力を持つ人を選挙で破って、政権を握るようになる。これは民主主義と不可分な問題だ。もちろん、別な制度にはその制度の特徴の問題がある。世襲の政権で明らかだが、親が政権を握ったからといって子には必要な能力があるとは限らない。民主主義の利点は、当選者は余りにもだめなら、次の選挙で落選することだ。でも、次の選挙でも選挙に勝利する能力を持つ人が当選する。
この問題を解決する方法が思い浮かばないので、問題であることに意識するしかないだろう。