『【マンガ】神道入門』

漫画で神道を紹介すれば、受け入りやすくなると思えるだろう。「神道」には確かに固い雰囲気があるので、固くない漫画と組み合わせたらより入りやすくなるのではないか。それはこの本の起源になっただろう。(シリーズの一冊だが、シリーズ全体は難しい宗教の課題を漫画で紹介する方針なのようだ。だから、シリーズの起源はここにあるだろう。)確かに、『萌えて習得! 量子力学』のようなタイトルがある本を見たことがある。(アマゾンで確認すれば、表紙には巫女があった。量子力学派神道?)しかし、漫画だけで効果はそれほどないだろうかとも思う。内容が分かってほしければ、読者に説明しなければならない。その説明は細かくて難しければ、可愛い女性が漫画に登場しても、受け入りやすくならないだろう。

やさしくする為に、神道を語るより、神道を示したほうがいい。それは何のことかと言うと、漫画の話の中で神道の様々なことが自然に出てくるようにすることだ。例えば、数年前に読んだ『神社のススメ』というシリーズはそうだったが、神道の入門書のつもりはなかったので、紹介しなかった内容は多かった。読んだら、神社の日常生活が分かるようになると思うが、神道の歴史や神観念が謎のままだ。入門を漫画やフィクションにするのはそう簡単ではない。登場人物の一人がもう一人に説明することになってしまうことは多い。

あいにく、この本にはそのような問題がある。実は、神道の説明の殆どは、登場する大学の名誉教授が演説するところだ。講演を漫画で描かれる。その結果、説明をやさしくする余裕はあまりない。つまり、普通の本で書いた説明との相違点は、紙幅が結果的に狭くなるに過ぎない。漫画の特徴が上手く使われたとは言えない。

それでも、内容はいかがだろう。大きな問題はないと思う。神道の歴史を語ったり、神話を紹介したりするので、基本の入門内容はあると言える。それでも、かなりオーソドックスな内容だから、他の入門書と比べたら大きな特徴はない。天皇の神道の中の役割を重視しないと言えるが、それほどだ。

漫画であるので、早く読めたのは確かだ。しかし、神道の入門書は多い世の中で、この本を薦めることはできない。欠陥や大きな問題はないが、他の本よりこれを選ぶ理由もないからだ。


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