先週の『神社新報』で面白い祭祀が紹介された。神奈川県にあるマリーンパークで合格祈願が執り行われた。なぜマリーンパークで行ったかというと、その施設の有名なアシカが滑らずに歩けることからだ。要するに、試験で滑らないように、滑らないアシカに因む合格祈願祭が斎行された。
これ自体は面白いが、より面白いことは、アシカが祈願祭に参列したことだ。飼育員と一緒に適切なところで頭を下げ、そして玉串を捧げて、二拝二拍手一拝の作法を無事に遂行したそうだ。記事には写真が付いているので、頭を下げているアシカの姿を見ることができた。
この出来事は面白いだけではなく、興味深い。もちろん、一つの祭祀から神道一般を論じることはできないが、この祭祀を神社会の新聞で公表し、祭主の神職も『神社新報』の編集部も問題になるとは思わないようだ。しかし、他の宗教で動物が祭祀の中心的な出来事を行ったら、騒ぐことは多いだろう。キリスト教で動物がミサを受けることはないと思う。
少なくとも、神道の祭祀はいつも伝統に則って執り行われるとは言えないことは明らかだ。前にもこのブログで述べたが、これはよいことだと思う。神道の中心には産霊の概念があるが、その一側面は新しい祭祀を発想することだと主張したい。試行錯誤でよい祭祀を作り出すので、このようなアシカが参列する祭祀もしてみて、それからどうするかを考えてもらえれば神道の将来も保証されていると思う。