最近、Natureなどの科学誌で、実験の再確認問題が取り上げられる。この問題は、ある実験の結果は、別な研究者が実験をまた行おうとすれば、確認できないことだ。原因として、偽りがあったケースもあると思われるが、大半は技法の問題とか、統計学の問題とか、偶然な現象などの対応し難い問題であるという。しかし、結果は再確認できないなら、その結果が本当に事実を反映するかどうかは分からない。つまり、科学の進展のために、再確認は必要不可欠だ。
今週のNatureで、実験の再確認の予算を最初の研究費に盛り込まれ、再確認を研究費の供給の条件にすることだった。確かに効果がありそうな対策だが、無駄な実験が多くなるのではないかという心配がある。
それより、他の実験に基づいた研究を促しながら、既存の最新の研究の結果を確認させた方がいいだろう。一文で説明したら、分かりづらいと思うので、もう少し詳しく説明する。既存研究の成果に基づいて新しい研究の計画を立てれば、既存の研究には問題があれば、新しい研究はうまく進まない。しかし、前の結果の確認を意識しない限り、問題が発生しても原因を特定するのは難しい。だから、新しい研究で既存の研究の問題を特定することはできない。一方、既存研究の問題がどのような影響を今の研究を与えるかを考えれば、問題から原因を探ることはできるだろう。
そして、前の実験をもう一度繰り返して確認すれば、結果の解釈は根本的に間違っても、結果は妥当であれば、確認できる。他方、新しい研究に組み入れたら、解釈は間違ったら問題が発生する可能性は高い。別な方向から現象に近づくので、現れ方も異なるからだ。既存研究の問題に迫る可能性が高くなる。
それだけではない。前の実験をそのまま繰り返せば、問題はなかったら何も進展しない。他方、新しい研究で前の研究を確認すれば、前の研究の結果も解釈もよかったとしても、新しい成果が得るはずだ。
この方針を実施するために、ちょっとだけの修正は必要だ。それは、研究費に提供した研究の結果は、「基礎になった研究には問題があった」ことにとどまっても、研究者のキャリアには問題にならないことだ。今の制度で、このような結果を発表することさえ難しいし、研究費の目標になかなか至らなかったら、問題視される。科学には新しいことと挑戦することを本格的に認識して、既存研究を否定する成果を評価するべきだと私は思う。