昨日のニュースで、東京都の万引きの統計データについての発表があった。統計を集め始めた平成元年以来初めて、65歳以上の老人の万引きが20歳未満の若者の万引きを上回ったそうだ。最近の老人はダメだとか、何かの道徳教育を導入するべきなどの解釈は一切なかった。むしろ、社会から孤立された老人の支援等を整えるように警察が区役所などと協力しているそうだ。
もちろん、これは適切な対応だと思う。ただし、若者に対しても適切な対応なのではないか。特に最近若者が社会から孤立されることは多い。非正規雇用しかないし、はっきりした役割はない。収入も低いし、不安定だ。そのような環境で犯罪に陥らなくても、生活は決してよくない。
相違点として、若者には若さの力があると言えるが、老人には生涯の経験があるので、双方にも独特な利点がある。若者でも老人でも社会の主流の中年日本人男性から離れているので、立場はもはや弱い。それに加えて運が悪かったら、生活に困ったり、友人を失ったりすることも当然ある。社会福祉は、このような人を社会での有意義な生活を送れるようにさせる仕組みであるべきだと思う。犯罪を犯すのは悪いが、傍聴者の私たちがそう言っても、意味はない。私たちができるのは、社会構成を改善することだから、その側面から考えるべきだ。だから、孤立の老人を助ける方法を考えるべきだし、アルバイトから脱出できない若者の救済も考えたほうがよいだろう。
ところで、今日のニュースには深い意味はない可能性もある。平成元年以来、65歳以上の老人の人数が増えてきたが、20歳未満の若者の人数がむしろ減ってきた。だから、犯罪の件数の割合も変わったのはただ当然な現象に過ぎないだろう。