神社本庁の規則で、神社の祭りは三つの段階に分けられる。それは、大祭、中祭、そして小祭である。指定は以下の通りである。
大祭は、例祭、祈年祭、新嘗祭、式年祭、鎮座祭、遷座祭、合祀祭、そして分祀祭である。この中に、鎮座祭、遷座祭、合祀祭、分祀は神様の鎮座するところを変える祭りだから、大祭にするのは当然だと言えよう。そして、例祭は、神社毎に異なって、その神社にとって一年中最も重要な祭祀を指す。祈年祭は2月に執り行われる豊穣を祈る祭りで、新嘗祭は秋に執り行う感謝祭である。両方とも宮中祭祀に則る。それに、神社に特別の由緒ある祭祀も、大祭に見なされる。
中祭は、歳旦祭、元始祭、紀元祭、昭和祭、神嘗奉祝祭、明治祭、天長祭、そして「その他これに準ずる祭祀及び神社に由緒ある祭祀」である。このほとんどは、皇室関係の祭祀だ。歳旦祭でも、宮中祭祀に則る。神嘗奉祝祭は、伊勢の神宮の祭りの当日を祝う祭りだ。
これ以外の祭りは、全て小祭だ。毎日の神饌を捧げる祭りから神前結婚式までは、小祭だ。
大祭のリストを認めてもよいかと思う。当該神社と特別な関係はない祭りは、祈年祭と新嘗祭だけだし、稲作の祭祀は神道の基本にあるのは否めない。そして、当該神社には特別な由緒があれば、加えることができる。今の手続きで、神社本庁の許可は必要だが、年に二回の祭りまでは、届け出制度に改めた方が良いと思う。原則として、明治維新以来発足された祭りは大祭として認められないそうだが、150年が経ったので、緩和するべきだと思う。そして、現代に合わせようとする祭りは神社本庁の方針にそわなくても、個別の神社に大祭として認めた方がよいと私は思う。数の制限は、大祭を乱れに増やすのは良くないからだが、その形などは、自由に創造させるべきである。
中祭のリストは、圧倒的に皇室関係だ。これはわざとであるのはいうまでもない。神社本庁が神社神道の皇室との関係を強調するからだ。しかし、歴史的に見れば、根拠はそれほど確かではない。だから、中祭を変えた方が良いのではないかと思う。今のところ、七つある。そのうち、歳旦祭を固定してもかまわない。初詣は、神社にとって大変重要な儀式になったからだ。実は、歳旦祭を大祭に上昇させても不思議ではない。そして、神社本庁が伊勢の神宮を本宗として仰ぐので、神嘗奉祝祭も固定してもよろしい。それに、神社毎の中祭は、年に四回まで届け出で認めるべきだろう。
残りの五つの祭りには、選択肢を設けたほうがよいと思う。すぐに思い浮かぶのは、節分、桃の節句、端午の節句、七夕、重陽の節句である。この五つはもう歴史は古いし、日本の文化に根付いているので、神社で祝うと伝統文化の継承に貢献する。節分は、旧暦でも新暦でも同じ日にちだが、他の節句の場合、新暦か旧暦かは、神社に任せるべきだと思う。この十の選択肢から、神社が五つを選ばせる。(もちろん、自由欄にも入れるとよろしい。)つまり、中祭が次の通りになる。
固定:歳旦祭、神嘗奉祝祭
自由:神社の届け出によって、年に四回まで。許可を得れば、それ以上も認められる。
準自由:元始祭、紀元祭、節分祭、桃の節句祭、昭和祭、端午の節句祭、七夕祭、重陽の節句祭、明治祭、天長祭の間から、自由に五つを選ぶ。
このようにすれば、神道の多様性をより忠実に尊重するが、共通性や伝統性も保つ。神道の実態に相応しい方針だと思う。