「随分と様相が異なってゐたでせう」

今日、8月26日付の『神社新報』で『神宮だより』というコラムを読んだ。毎回載るコラムで、伊勢の神宮のことを伝える。神宮の神職や職員によって書かれ、神社界の新聞に公開されるので公式に近い意見であると思える。

だから、今回の内容は興味深かった。作者が平安時代の式年遷宮と現在の式年遷宮を比較して、相違点は多いことを指摘した。「随分と様相が異なっていたでしょう」とはっきり言ったが、その通りだ。このブログで前にも指摘したと思うが、1300年の歴史を確かに持つ式年遷宮は、時代に合わせて変化してきた。1300年が経っても祭祀は変わらないと言わんばかりの記事も読んだことがあるので、ここで事実を潔く認める記事に出会うのは嬉しい。

私の観点は、祭祀が変遷するからこそ生き残るということだ。神宮の祭祀だけではなく、神道の祭祀や慣習全般は時代に合わせて変動するべきだと思う。「守るべきことを守る、変えるべきことを変える」は本格的な保守主義であると読んだことがあるが、本格的な進歩主義でもあると言えるのではないか。ただ、私はもう一つの文句を加えたい。神道の場合には特に適応するべきだろうが、一般的に重要だ。「甦らせるべきことを甦らせる」と。式年遷宮の歴史でこのことの前例も見えるが、数多くの神社祭祀も実例になる。失われたことは永遠まで失われているとは限らない。

いつも変動があるが、過去、現在、未来をともに見据えて変動させるべきだろう。


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