「自然環境に対する神道教学の可能性」

9月2日付の『神社新報』の第一面の大半は、「自然環境に対する神道教学の可能性」を主題とする研究大会の発表に占められる。神道の自然崇拝の要素は強いので、自然環境との共存は神道の重要な側面であるとよく言われる。しかしながら、神道の活動などを見たら、自然環境の保護などに向ける動きは少ない。個人的にこれは残念に思う現象だから、この研究大会を歓迎する。

今回の大会の焦点は鎮守の森だったそうだ。これは評価するしかない。神道と自然環境の関係を考えれば、鎮守の森は一番具体的で日常的な表現だから、鎮守の森から始めるのは自然だ。理念と近現代の歴史も語られたが、一番注目するのは「現状・活用」のトピックだろう。このところを読んだら、環境問題と取組むために鎮守の森より広い視野は必要であることは認められる。太陽光発電などの重要性は唱われる。では、鎮守の森の役割を具体的に見れば、青少年の教育や啓発が挙げられるし、批判できない。

都会に鎮座する神社にも鎮守の森がある場合は多いので、コンクリートに囲まれて生活を送る青少年へ自然と接する機会になる。そのような体験から、自然環境への関心が生まれる。その上、地元の鎮守の森への関心も高まり、鎮守の森の保護などに積極的になる人もいるし、消極的に存続を応援するようになる人も。そして、鎮守の森自体は、生き物の拠点となって、自然環境を保てる。

ただし、鎮守の森を踏み台として利用するべきだと思わざるを得ない。気候変動や絶滅などの問題がさらに信仰してしまったら、いかに努力しても鎮守の森を保存することはできなくなる。これから、神社本庁や個別の神社の活動を期待している。


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