人間は、指定されたことをやりたがる。検定試験はその例である。例えば、漢検を受ける人は、入学などではなく自分の漢字能力を見せるために受けることは多いと思える。学校も、検定が存在するから使う。そして、受験手続きは難しくない。神社界では、神社検定があるので、ある意味でこの心理を活かしている。それでも、より神道的に活かせると私は思う。
神道は、基本的に知識より体験を重んじる宗教だから、検定試験はちょっと的外れであるとも言える。もちろん、知識はないと体験は分からないし、私は知識派だから有難いのだが、体験を促す方針のほうが良いのではないかと思う。この投稿のタイトルからも分かると思うが、巡拝路を提案したいのだ。
仏教では、四国遍路などの伝統的な巡拝路は多いが、神道にはそのような伝統は少ない。様々な神社に順番でお参りすることより、一つの神社へ旅してお参りすることは多いようだ。参宮も、熊野詣でもそうだ。昔、熊野三山までお参りするためには熊野古道を歩くしかなかったが、現在は観光バスで行けるようだし、熊野本宮大社のホームページで略式の参詣路が紹介されている。問題は、観光バスで行ってお参りしたら、ただの観光に感じることは多い。そして、一つの神社にお参りすれば、達成感はあまりない。簡単にできることだから。金華山黄金山神社へ確かにちょっと踏ん張らないと辿り着かないが、それでも達成感は少ない。
一方、全国の一の宮参りを促進する「一宮会」があるが、これは難しい。一宮は、80ヶ所ぐらいあるし、もちろん全国に配置されているので、全てにお参りすることは、数年間がかかる。できたら、かなりな達成感があると思うが、完成する前の中間的な目標はないようだ。検定試験に1級しかないと同じ問題だ。
東京には「東京十社参り」がある。これは一日でできることだし、私が二年前に一日でできたが、巡拝する経路などを、自分で調べるしかなかった。調べる努力でもう疲れてしまう人もいると思う。それで、神道の体験は全くしない。
それより、参加する神社が共同ホームページを作って、巡拝路を紹介した方が良いと思う。東京十社の場合、電車や地下鉄を使って一日で十社にお参りできるコースと、二日や三日に分けるコースが良いだろう。一日で済ませるのは確かに大変だった。そして、出発点を複数にすることもできる。首都圏のどこに住んでいることによって、好ましい出発点が変わる。
同じように、例えば東北の一宮が協力して、一つの旅ですべてを巡拝できるコースを考えるのではないか。数日間がかかるが、一宮以外の神社へのお参りも組み入れられる。一宮の分配を考えれば、福島ー宮城ー岩手と山形ー秋田ー青森に分けたほうがよいかもしれない。(青森県に鎮座する一宮は、日本海側に鎮座するからだ。)コースで電車やバスの情報、そして宿泊先の紹介があれば、計画を立てるのは簡単だ。参加する神社が特別な御朱印帳を提供するなどで、巡拝で得る何かを作れる。
このような計画はもう存在するだろうが、そうであれば広報は不十分だ。私は、神社などに興味を持って、調べることは多いが、聞いたことはない。このような計画で、神社の間の絆も強くなるし、一般人の神道の経験も深まると思える。