遊動生活:雇用

遊動生活で一番問題になるのは、仕事だろう。確かに、年金で生活を送る人もいるし、お金持ちで働かなくても困らない人もいるが、殆どの人には働く必要がある。そして、現在の仕事の殆どは、固定した場所で行われるので、遊動生活を営むと就職できない。

遊動生活と一緒にできる仕事は、農業での収穫や土木建築の仕事があるが、このような仕事は主に低賃金で、社会的な位置も低い。遊動生活が低所得者に限ると、その生活に対する偏見が自然と湧いてくるし、遊動生活を選んだ人には必要以上他の成長が塞がられる。だから、雇用の他の選択肢を考えるべきだ。

一つの分野は芸能だ。自分の芸を身と一緒に国中に運ぶのは当然のことだから、その側面から問題はない。だから、芸を披露してお金を集める機会について考えるべきだろう。路上演出を許したり、仮劇場を用意したりする工夫は必要かもしれない。

手芸もできる。道具を運ぶがちょっと難しくなるかもしれないし、移動工房も要るが、自営業だから雇用の問題はない。そして、ネット販売すれば、場所とは関係なく全国に売れるので、このような手法を活かしたら、ファンを集めてある程度の尊敬を得る仕事もできる。フリーライターも、小説家も、漫画家も同じだ。行政が遊動生活を認めて、連絡先の確保を保障すれば、そのようなフリーな仕事は遊動しながらできる。

このような職業は、優れた才能は不要とは言え、誰にも向いているとは言えない。非正規雇用や自営業で作品を売る仕事は、私の頭の中の遊動生活のイメージになるのだろうが、この職業の全ては社会の主流からちょっと離れている。非正規雇用は軽蔑されるかもしれないが、作品を作って生活を営む人もちょっと変わった人として捉えられると思う。この二つだけであれば、遊動生活がちょっと社会の中心から離れて行う。長期的に考えれば、それは良くない。普通の市民が遊動生活を営めば、本当の意味で自由に選べるからだ。そして、事務職などに向いている人も、遊動生活を選ぶことが出来るようになる。

この点でも、通信技術が助けになる。今は、事務職に務めるために事務室にいる必要は全くない。ファイルをメールで受け取って、自分のノートパソコンで処理して、そして最後にメールで返す。雇用しない理由はないだろう。特に、ごく普通の一般事務であれば、会合に出席しなくても良いし、締め切りまでに片付ければ良いので、事務室の中で監督される必要もない。実は、弁護士や税理士の仕事も、ネット上でできるので、行政がそのような活動を許可した方が良いだろう。

このような仕事をネットで出来るようにしたら、遊動生活を営む人だけではなく、離島や山間地に住む人にも役に立つ。さらに、山間地などの住民の個人的な利益だけではなく、地域の経済再生にも貢献する。つまり、居場所を関係なく多種な仕事ができるように制度を整えたら、遊動生活の可能性に大きく貢献し、地方の経済再建にも貢献する。前にも述べたが、自由を増す政策にはこのような結果はよくあると思う。皆の自由を拡大したら、予想外の素晴らしい使い道が見つかる。


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