参議院選挙の無効判決

先日、地方裁判所で7月の参議院選挙の選挙区での無効判決が言い渡された。これは、日本の国家体制にとって大きな問題であるのは言うまでもないだろう。裁判所の根拠にも賛成できる。一票の格差は4.77倍にも上っているそうだし、前回の選挙に対する違憲状態の最高裁判所の判決もあったので、政府や国会が司法を尊重していないことも言えるだろう。4.77倍の格差は確かに大きすぎる。法律下の平等を侵すし、民主主義の原則にも違反する。男性に女性の4.77倍の選挙力を与えたら明らかな問題になるので、島根県民には東京都民の数倍の表を与えることも遺憾である。

問題を明かすのは簡単だ。解決策を提案するのは難しい。都道府県を選挙区とすることで、そして3年毎に参議院の半数を選挙することで、一つの件に少なくとも二人の議員を置くしかない。鳥取県の人口は60万人弱で、東京との人口は1300万人強である。鳥取県に二人を置けば、東京都には42人が必要となる。神奈川県と大阪府には30人、愛知県には24人になる。全体的に、議員は400人が必要となる。それは多すぎるので、鳥取県に二人の議員を置けば、問題は解決できない。

なら、どうすればようだろう。鳥取県には一人しか置かなければ、200人で平等な配置はできる。比例代表は40人程度になる。数字的に可能だが、大きな問題がある。この制度であれば、参議院選挙の半分で鳥取県民には比例代表にしか投票権がない。それも憲法の法律下の平等に違反すると言えるし、民主主義に反する。

もう一つの案は、選挙区を廃止して、比例代表のみにすることだ。そうすれば、一票の格差が当然なくなる。ただし、これにも問題がある。一つは、代議士と選挙区との絆は重要であることだ。代議士が選挙区の住民の声を中央政府に届ける役割もあるし、選挙区の利益を促進する役割もある。選挙区はなければ、比例代表の結果を左右する大都会の住民の意見が重視され、田舎の問題が見られなくなりかねない。地方の社会には多くの問題があるし、その問題が大都会の問題と大きく異なるので、全国のための政府にとっては、これは決して良くない。

残っている案は、地域毎の選挙区だ。例えば、鳥取県と島根県を一つの選挙区にしたら、二人の議員を置いても全国的に200人程度が必要となる。このような方針をとれば、100万人を超える選挙区を目指すべきだろう。鳥取県と島根県は自然な組み合わせだが、問題になるところもある。高知県と徳島県を一つの選挙区にすることはできるが、福井県、佐賀県と山梨県が問題になる。隣接する県と一緒に考えるべきだろう。地理的に離れた県と一緒にすれば、問題も利益も一緒にならないので、選挙区の利益は得られない。福井県と石川県で200万人程度になるので、4人を置けば良い。佐賀県と長崎県で230万人程度だから、これも4人でも良いだろう。山梨県が問題になる。隣接する県の人口は山梨県より大幅に高いからだ。神奈川県の場合、10倍を超える。その県を合併すれば、選挙区で山梨県を無視しても良いほどなる。だから、一番適切な選択肢は長野県になる。長野県でも2.5倍に近いし、長野県は県として4人の議員にあたるので、長野県民が共同選挙区に反対するだろう。

個人的に、最後の案の問題はましだと思うが、簡単な解決策はないのは確かだ。選挙区を維持するべきだと思うし、参議院の定員を大幅に増やすべきではないとも思うので、選挙区を県に配置する制度を廃止しかないと思わざるを得ない。しかし、一番適切な改善案を決めるには、慎重な審議は必要。あいにく、無効判決が迫るので、審議する余裕にも制限がある。だから政治は難しい。