先日、遊動生活を経験した人とちょっと話し合えて、もう一つの問題になる点を教えてもらった。それは医療だ。救急医療は特に問題ないようだ。遊動生活でも定着生活でも、それは同じだ。住所と関係なく、その場で治療を受けなければならない。しかし、持病は別だそうだ。
考えれば分かると思う。持病の場合、医者と相談することは多い。そして、自分の体調や病歴が分からない医者であれば、話には時間がかかるし、医者によって治療法が変われば、それは嫌になる可能性もある。従来の治療法に慣れて生活の一部にしたのに、新しい方法に切り替えるのはめんどくさい。そして、カルテが新しい医者に届かないかぎり、出来ることは少ない。
ここで、制度として出来ることは少ない。医者にも遊動生活を可能にするのは当然のことだから、医者と一緒に遊動する人は、同じ医者とずっと相談できる。ただし、病院に必要な道具などは物理的に移動しにくいので、このようなことは規則上可能になっても、実例は少ないのではないかと思う。その場合、ある程度医者が変わることは避けられない。制度的には、二つのことが思い浮かぶ。
一つは、情報技術を活かして、患者の病歴が簡単に病院から病院へ移ることができる制度だ。個人情報保護に配慮して、この移動は原則として本人の依頼によって行うし、発信する病院の記録から削除するだろう。少なくとも、医者の勝手の依頼で記録をうけるわけにはいかない。そして、この移動は、即座に実施されるようにしなければならない。原則として当日届くようにするべきだ。なぜなら、遊動生活を行う人は、翌日には別なところへ移動することは多いからだ。一週間待つことはそもそもできない。このような仕組みは難しくないと思える。ネット販売の業者は同じようなことができるし。そして、定着生活を営む人にも便利になるのは明らかだろう。引っ越す時とか、病院を替えるときなど、大変役に立つ。
もう一つは、ネット上の診断だ。面会は、今の技術でも可能だから、面会が足りる診察はもうネット上で行える。制度として、ビデオチャットでの面会を認めて、処方箋を出すことを許せば、薬を毎月発行してもらえなければならない病気でも、ずっと同じ医者と相談できる。もちろん、処方箋もネット上で発行することも必要だ。郵送すれば、間に合わないことは多いからだ。
そして、今でも遠隔操作で診断が出来るように技術が進められているが、近い将来にはある程度の診察は出来るようになる。その時点で、認めるべきだ。これも、同じ医者とずっと相談できるようにするからだ。
遠隔操作の診断も、定着生活の人には役立つ。特に病院に出かけにくい人は助かるだろう。
遊動生活を可能にするための措置は、比較的に簡単なこともあれば、努力を必要とすることもある。だから、実現しようとしたら、実現し易いことから始まるのは当然だ。それだけが出来ても、遊動生活が遥かにやり易くなるのではないかと私は思う。