就学前の子育て方

昨日のNHKのラジオニュースで、お茶の水女子大学の名誉教授の研究成果は取り上げられた。あらすじとして、小学校に入る前に積極的に遊ばされた子供達は、難関校に入れたと言ったが、結果をもう少し詳しく説明しあたら、ちょっと違う。

社会人になった子供の親に幼児ころの子育て方針について尋ねたそうだ。そして、子供の20代までの履歴は分かったので、育て方のキャリアとの間の相関関係は調べられた。

これによると、難関大学に入学した人の親の30パーセントは、「積極的に遊ばせた」と答えたが、そうではない人の親で24パーセント程度だったという。「自発性を重視した」という答えは、難関大学の場合は24パーセントで、それ以外は12パーセントだった。(ところで、難関大学は、偏差値は68以上の基準としたそうだ。)確かに、傾向は明らかだ。

しかし、どちらの方でも、少数だ。30パーセントは過半数から遠い。逆にすれば、難関大学に入れた人の3人に2人以上は積極的に遊ばされなかった。だから、難関大学に入るために必要ではない。そして、入れなかった人の間にも24パーセントだから、充分でもない。この成果を基に言えるのは、小学校に入るまで子供をなるべく遊ばせても、難関大学に入るチャンスを損なわないし、ちょっと有利になるだろうということなのではないか。これでも、重要だと思う。幼児教室について悩む必要はないことを証明するからだ。

この成果で勧められた子育て方は、私の方針に近いので受け入れたい。しかし、よく考えたら、心配がある。

知的能力には遺伝子による部分は5割り程度であると言われる。つまり、偏差値は68を上回る親には、その基準を上回る子は多い。絶対的ではないが、傾向は強い。そして、「幼い頃にたっぷり遊ばせて」というアドバイスは、幼児教育について読めば、常識に近い。少なくとも、私はよくあったことがある。だから、方針として導入した。しかし、学問的な本をあまり読まない人は分からないだろう。勉強の重要性は一般に強調されているからだ。だから、遊びの重要性を認識するのは、主に偏差値は高い人だろう。

だから、私の心配は次の通りだ。偏差値の高い親には偏差値の高い子がいるはずだ。だから、偏差値の高い親の子と偏差値の低い親の子を比べたら、前者のこのうちに難関大学に入った子が多いと見込まれる。それに、偏差値の高い親の中で、たっぷり遊ばせる親の方が多いだろう。これで、成果から見る効果と逆になる傾向がある可能性がある。具体的な数値で見せよう。

低い偏差値の親で、たっぷり遊ばせた人で難関入学:2人。
低い偏差値の親で、たっぷり遊ばせなかった人で難関入学:10人。
高い偏差値の親で、たっぷり遊ばせた人で難関入学:13人。
高い偏差値の親で、たっぷり遊ばせなかった人で難関入学:25人。
低い偏差値の親で、たっぷり遊ばせた人で難関入学しない:12人。
低い偏差値の親で、たっぷり遊ばせなかった人で難関入学しない:55人。
高い偏差値の親で、たっぷり遊ばせた人で難関入学しない:12人。
高い偏差値の親で、たっぷり遊ばせなかった人で難関入学しない:21人。

これで、難関入学の間に遊ばされたのは30%で、難関入学しなかった人で24%だ。しかし、偏差値の低い親に集中すれば、遊ばせた子の14%が難関入学したが、遊ばせなかった子の18%だった。一方、偏差値の高い親の場合、遊ばせた子の52%で、遊ばせなかった子の54%である。つまり、研究の結果がでるが、遊ばせたら難関入学の確率が下がる。

そうではないと良いけれども。


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