最近、神社検定壱級の準備のために去年と一昨年の公式テキストを復習していた。今年の新刊のテキストが発売される前に今までのテキストを読み終わりたかったが、結局できた。最後に読んだのは、『遷宮のつぼ』という本だった。タイトルから推測できるように、伊勢の神宮の遷宮は主なテーマだったが、出雲大社の平成の大遷宮も扱われたし、賀茂社などについても触れている。
去年の検定のために読んだときも今回も、同じことを痛感した。神社の遷宮を継承するために、材料は重要だが、一番重要なのは、技術の継承であることだ。
この原点から、二つの考えが発生した。
一つは、技術を保存するために、遷宮の間にも匠が生計を立てられるような環境は必要であることだ。匠だけではなく、弟子の生計も必要だ。弟子が遷宮の間に仕事できなければ、20年に1回の遷宮に貢献できないからだ。最近、茅葺きの屋根が少なくなったし、組み物の需要も低迷しているようだ。他の技術には同じような現状がある。
この事実を踏まえて、神社には技術を継承する具体的な手法を考えるべきだと思う。ただ憂えれば、何も改善しない。幸い、神社の場合方法があると思える。民社の遷宮である。民社の経営は厳しいので、自力でできないが、技術を保持するために神社本庁や有数な神社が出費して、田舎に鎮座する兼務社の修繕を行えば良い。神宮の場合、神明社に限っても良いだろう。数は少なくないので、20年間の仕事になると思える。
もちろん、神宮の経済力も無限ではないが、今回の遷宮の必要な経費を上回る寄付金があったそうだから、次回の遷宮のために技術の保持に使ったら相応しい使い道なのではないか。遷宮のために使うことになるので、少なくとも新しい資料館を会館することより不適切ではない。と同時に、小規模な神社の大きな支えになるし、地方経済の小さな刺激にもなるだろう。
この民社の修繕は、社殿の立て替えだけではなく、装束や神宝の政策も入っている。もちろん、神宮と同じ形式で作っては行けないが、そうする必要はない。むしろ、そうしない方が良い。技術を洗練するために、複数の形式で使った方が良いので、ちょっと異なるものを作り出したら、匠の手腕がさらに上達するはずだ。民社には茅葺き屋根や組み物で飾られた神座などがあると、神社の神威が増すし、祭りに仕える道具も作れば、祭りに興味が集まる可能性は高い。つまり、地方の神社の再生と繋がる可能性もある。
具体的に計算すれば、この計画にはかなりな予算が必要となると思うが、別途で「技術維持」の予算を立てて、必要な規模で行えば良い。技術が絶えたら、神宮の式年遷宮や他の有数な神社の遷宮が不可能になる。だから、このような対策を真剣に考えたほうが良いと私は思う。