建国神話

2月17日付けの『神社新報』には、神武天皇についてに記事が載っている。これまでは驚くほどではないが、記事の内容にちょっとびっくりした。

神武天皇は実在の天皇であることは疑わしいのを認めて、神話のより比喩的な解釈を進める。神武天皇は架空な天皇である説を提唱する学者を紹介するが、さすがに疑問を挙げるとしても、神武天皇の存在をはっきり否定しない。

はっきり言ったと言えるのは、紀元前660年の即位は誤りであること。確かに、記事で書く通りそれは信じ難い。推古天皇から逆算されたようだし、紀元前660年はまだ縄文時代だから、神武天皇の東征などが起こったはずはない。そして、私の意見を加えると、1400年ぐらい後で編纂された歴史書には、信憑性はない。記録は1400年間保存された可能性は低いと思う。

そして、この記事の執筆者は神社本庁の地区強化講師であるそうだ。つまり、これは神社本庁の神道の見解を広める人間のご意見だ。

前にも、神職の養成講座に使われている歴史教科書で神武天皇までの神話ははっきりと史実ではないと書いてあると述べたが、神武天皇から神社本庁の出版物でより曖昧な扱いになるようだった。この記事で、神武天皇も実在していない強い可能性は認められていることが分かったので、一安心した。

私の見解で、神道は『古事記』や『日本書紀』に基づかないので、その内容は史実ではなくても構わない。記事の中で書いてある通り、古の人の理想や考え方を把握する上で重要で、その理想を把握するのは神道を把握するために必要不可欠だ。伝統も伝承も極めて重要だが、史実であるかどうかは重要な点ではない。

このように考察すると、私には抵抗感はない。


投稿日

カテゴリー:

投稿者:

タグ: