多くの人が一緒に何かをしようとすると、初回はいつも混乱になって、問題が発生する。これは人間はダメであるからではなく、事実の状態は大変複雑であるからだ。だからこそショーなどをリハーサルする。現場で、衣装を着けて、本番と全く同じようにしないと、本番に予想外の問題が発生する。同じく、新しい施設が開設すると、初日にはシステム問題があることは多い。なれていない店員などが間違えるし、実際に発生する状況を想定しなかった設計もある。本番になるべく似ている練習があれば、本番での問題を減らすことはできる。
同じ感覚は防災訓練に当たるだろう。
訓練であるから、事前に知らせなければならないと思うが、その知らせは例えば「来週の水曜日に防災訓練がある」という程度にするべきだと思う。ちょうど何時に起こるかが分かれば、準備ができるので、本番と大きく違うし、3、4時間の間にあることが分かったら、同じようにその時間帯に入浴せずに、寝ずに、準備ができる。24時間であれば、準備はそもそも無理だから、普通の生活をして、訓練が始まる時に参加するしかない。
そして、もう一つ。防災訓練で避難する必要があるが、それを困難にするのは大勢の人が同時に避難しようとすることだ。だから、訓練が複数の避難所の区域を同時にカバーするべきだとも言えよう。
もちろん、瓦礫や浸水、倒れた木などの妨げは訓練のために作れないが、無作為で道を選んで、訓練のスタッフを設置して、「この道は通れない」と避難する人に知らせた方が良い。そうすれば、避難所へ複数の道を覚えることになる。
同じく、避難生活はできないが、避難所で持ち物を確認して、想定する避難生活に足りるかどうか判断することはできる。
しかし、住民が皆参加するはずはない。他の仕事があるからだ。この問題が解決するために、法律で参加義務をつけなければならない。そして、参加しないと個人にも企業にも罰金を科する。自力で避難できない人は、住民によって避難させてもらうべきだから、だれに必要であるのが分かることは、訓練の目的の一つだ。つまり、避難はできない人は罰金を科されないが、避難を拒否する人には科する。
もちろん、対象としない人もいる。例えば、病院で手術中の医者は避難するべきではない。訓練のために人を犠牲にするわけにはいかない。同じように、病院から運び出そうとすれば病気が悪化する人も対象外とする。その上、看護するためのスタッフも対象外とする。しかし、企業の全ては対象とする。工場を安全にして避難できなければ、本番で二次災害を起こす恐れがある。東京株式市場が訓練区域に入っていれば、取引を一時停止するべきだ。
このような訓練は、隔年に行うと、いざとなると避難等がよりスムーズになるし、命が助かるはずだ。
その一方、本格的な訓練のために営業に大きな打撃を与えるので、コストもある。だから、このような制度の導入を検討すれば、広く住民と話し合って、命を救うためにどれほどの不便や損失は認められるかを決めなければならない。しかし、広い話し合いの結果を踏まえて議会が決めたら、賛成しない人も罰の対象となる。それは法律の根本的な機能。
このような訓練で消防士や警察官も重要な経験を積み重ねるが、一般住民もその日に備える経験や物資が見直され、犠牲者を最低限に抑えられると私は思う。