自由を増す研究の実例

この数日で私が提唱した研究方針の良い実例は最近Natureで取り上げられた。それは、アメリカの国家の研究機関が推進したいわゆる「千ドルゲノムプロジェクト」だ。

人間のゲノムは読めたのは、十数年前のことだ。初めて読めたゲノムの成果には、数年間、そして千億円以上の費用は必要だった。研究成果として、大なるものだった。その時点で、研究に助成金を出すアメリカのNIHGR(国立人間ゲノム研究機構)が研究者を集めて、ゲノムの一つ当たりのコストは、もちろん安ければ安いほど良いが、実現可能で研究などに大きな影響を与える基準は何だろうと言う質問について審議した。その結果、千ドルまで下がったら、大きな影響もあるだろうし、可能なのではないかとの結果だった。当時のコストの百万分の一だったので、簡単な目標ではなかったが、NIHGRが受け入れた。

そして、その目標に向けて、特徴のあるプログラムを発足した。普通の助成金と違う形にして、千ドルゲノムに向けて複数の道は試せるように試みたそうだ。最初に大きな成果を挙げた会社の一つは、もう破綻したし、助成金を注いだのに意味のある成果はない研究もかなりあったそうだ。それでも、機構がぶれなかった。このような難しい目標を目指したら、何でもかんでもが有効になるとは思えないし、研究する前に何が成功するかはもちろん分からない。つまり、一部が失敗することを覚悟して、プログラムを発足した。

ゲノムを読むコストはまだ数千ドルだそうだが、目標に近づいているし、遅くても5年以内達成するに決まっている。その上、今の状況で民間の研究会社は研究費を研究開発費として負担することになっている。だから、国家のプログラムは、今年度を最後とすることになったそうだ。もう成功に至っている判断だ。

注入した研究費の合計は数億ドルになるので、最初から民間企業に負担してもらう可能性はないと言えよう。失敗は多かったので、民間企業はそのリスクを背負えない。しかし、国家の研究費に基づいて、民間企業が成果をさらに開発したので、民間の投資も多くなった。

そして、ゲノムを千ドルで読めることになったら、様々な研究が可能になる。一つ当たりの費用は千億円であれば、選任のゲノムを読んで比較する研究は到底無理だが、千ドルになったら、大学が実費でできる程度になる。つまり、この国家のプログラムが研究者の可能性を大きく広めた。

その上、医学への影響は期待されている。今までの影響は少ないが、研究を多く進んで、そして患者の為に使う場合、患者のゲノムを読む必要があるとしても、可能になっている。

結局、何が一番の成果になるかは、分からない。しかし、何かの重要な成果は期待できるのは間違いないし、国費で行うべきではない研究も可能になっている。だから、このような国家的なプログラムは多ければ多いほど良いと私は思う。


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