批判と自由

自由な社会が実現されたら、批判する自由も保障される。それは当たり前なことだと思う。それに、批判された人が打撃を受けても、批判する権利を保つべきだ。批判の根拠は弱くても、権利を保障する。根拠の強さの判断は、だれに任せられるかが問題になるからだ。

特に、政権や国家、宗教や権力者の批判を制限するのは大きな問題だ。論理的な批判だけではなく、過剰な揶揄も許さなければならない。批判は自由を守る行動として重要であるからだ。

しかし、批判について考えれば、問題がすぐに思い浮かぶ。批判はとても強かったら、批判そのものが自由を縛る。私が目指すのは、卓上の自由ではなく、実質的な自由だ。周りの人の批判を恐れて何かできないなら、実質的な自由を持っていない。これを考えれば、批判の制限が必要だろうかと思える。自由を保つことは、簡潔な規則で実現できることであるとは限らない。

法的な措置には問題は多いかと思えるので、先ず社会的な対策を考えよう。社会的な問題に対して社会的な対策を講じると良いからだ。社会的な措置を法律で裏付けると良いが、ゼロから法律で解決するのは難しい。

だから、適切な批判について考えよう。最初に、丁寧な批判が良いとか、過剰ではない批判に限って許すとか、相手の気持ちに配慮する批判なら良いなどの制限は危ないと主張したい。丁寧度などを判断するのは誰かが致死的な問題になるからだ。批判される人に判断を委ねれば、批判は一番必要である人が批判を禁止する。一方、批判する人に委ねれば、制限にはならない。第三者の判断を仰ぎたいと思えば、そのような第三者を見つけるのは難しい。その上、言い方に制限を置けば、表現の自由を大きく侵す。

それより、何を批判すれば良いかから始めよう。甲は、ある良くない行動であるとしよう。甲の具体的な内容は指定しないが、批判する人が悪く思う行動にする。もちろん、甲を評価する人も存在する可能性に配慮しなければならない。甲を行う人もいるだろう。

許さなければならないことは、甲自体を批判することだ。悪質な行動を批判する権利はないと、自由に大きな制限がある。

では、甲を評価することはどうだろう。この場合、甲を行わない人が「甲は良いことだ」と主張するケースだ。このような行動を批判しても良いだろう。ここで慎重に考えるべきだと思う。自由の基本の一つは、社会が許さない行動を許すように活動することだ。例えば、女性が自立して職業に就くことは、昔は許されなかったが、運動の結果許されるようになった。だから、社会が許さない行動を評価したり推薦したりする行動は、社会の進化の為に必要だし、自由の重要なところだ。一方、甲は本当に非人道的なことであれば、評価や推進を批判することも当然だ。だから、ここで慎重にするべきだが、結局批判しても良いのではないかと思う。

次の段階は、甲を批判しない人だ。このような人を批判するべきではないと思う。悪質な甲を批判しない理由は多いからだ。一つは、この人が別な問題と取組んでいるので、甲について調べて、理解に基づいた批判を出す余裕はないことだ。また、甲は悪いと思うが、乙の方が悪いし、乙を抑制するために甲を評価する人と組んでいること。それとも、甲は悪いと思うが、甲に対する批判はもう過剰になっていると判断して、その過剰批判に加わらないことにしたこと。そして、批判しない人を批判するまで追い込むと、社会的な自由が絞られる。

このような行為を批判しないというのは、「この人は、なぜこの大きな問題について何も言っていないのか?社会的な関心は欠けている!」のような発言が入っている。このような態度は悪い態度だから、批判しても良いと述べている。

最後の段階は、甲を批判するが、熱心度が足りないことで批判する行為だ。これはしてはいけないことだと思う。相手はもう悪質な甲を批判しているので、味方だ。全ての味方は熱心であることを望むべきではない。味方であることはもう充分だ。この味方は、別な問題とも取組んでいるだろう。社会的な問題は、一人が取組めるより多いので、全てを解決するために夫々自分に特に関心がある問題と取組めば良い。そして、味方の熱度が足りないことで批判に晒されれば、恐怖な雰囲気を生み出すので、自由に制限を課す。

「「甲は悪質でしてはいけない」と言うだけは不十分だ。禁止令を求めないと実は敵だ!」のような発言は、この行為の例になる。このような発言は批判しても良い行動だ。(なお、単純に禁止令を求める行動は必ずしも悪いとは限らない。悪いのは、批判するが禁止令を求めるまでいかない人を批判することだ。)

もちろん、このような批判を批判してもよいが、批判しなくても良い。悪質な行動を批判しない理由は多いのは、上述の通りだ。場合によって批判した方が良いと思うが、社会がこの基準に基づいて批判したら、自由な環境が保たれると思う。


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