4月28日付の『神社新報』のコラムで、漫画の価値を強調する記事が載った。物語の漫画で、神道の思想や実践を紹介できることを紹介した。私も、一般に賛成する。
実は、神道についての研究の一環として、漫画で神道はどういう風に描かれているかは、調べようとしている。これを体系化して、英語で論文を書く予定だが、そうする余裕はなかった。これから、この計画に戻りたいと思うが、時間がかかる。今まで読んだ漫画は、大別したら三つになる。
先ず、神道を紹介する漫画だ。一つの例は、神道についての講義の漫画が入っているが、それは漫画の特徴を活かさない方法だ。他は、神社と関わる人の日常生活をテーマとして、それによって祭祀などを紹介する。漫画家の一人は、巫女として働いた経験がある方で、神田明神が『巫女さん入門』という本を出版した場合、短い漫画を掲載した。私が知っている限り、このような漫画の紹介する内容は確実だし、読み易い。そして、漫画だから絵もある。その絵は、神社の建築や三方の形、御饌や神酒の姿も見える。神楽は、動きは見せられないが、雰囲気は伝わる。
勉強の入門として、良いと思う。詳細はすぐに覚えないが、神社の日常が分かるし、祭祀の実践も描写される。共通点は、巫女さんか女子神職かが主人公になることは多いことだ。主人公ではなくても、大変重要な役割を担う。その点から想像に難くないが、大きな神社を中心とすることは多い。しかし、小さな神社を中心とすれば、描写できない側面は多いので、入門には仕方がないと言っても良いだろう。そして、超自然的な出来事はほとんどない。この種類は、「神社の日常」と名付けよう。
そして、超自然的なことは多い漫画もある。神話からの神様や独自の神様が現れて、神社と関わる人がその問題に取組む。ホラーからラブコメまでのジャンルは豊富だが、現実的ではないことは共通点。実は、神社が殆ど出てこない例もある。それでも、神道の世界観や神観念に基づいた話で、神話の登場人物を紹介したり、民族宗教や迷信を紹介したりする漫画だから、神道を把握することには役立つと言えよう。
「神社の日常」と対にして、「神遊び」としよう。実は、神社の日常も紹介する例があるが、穢れや物の怪、払えや神の概念を紹介して説明することにはぴったりな形式だと思う。物語で楽しめば、輪郭をちゃんと覚えることは多い。問題点は、物語を作るために標準の神道からちょっと逸脱しなければならないことだ。だから、神道について知識派一切ない読者は、真実とフィクションを区別するのは難しい。「神社の日常」では、登場人物や登場する神社は架空であることはよく分かるが、そのような活動は本当の神社にあることは信じても良い。しかし、神の概念は、登場人物が説話しない限り、紹介できない。だからこそ、「神遊び」も教育の重要な役割を担えると思う。
「神遊び」でも、漫画家が神道をよく勉強して書くことは多いようだ。神社本庁が一概に容認できない神観念も入っているが、ただ単に自分の創造力で作ったとは言えない。
「神遊び」でも、巫女が出てくることも多いし、神は可愛い女性であることも多い。これは現在の漫画の一般てきな傾向だろう。
そして、最後の一部は、「巫女さんとセックス」と名付けよう。これにも巫女が出てくるけど。神社などをただ単に壁紙とする作品は殆どなのようだから、教育に役に立たないことは多い。しかし、例外がある。それでも、神社人には保守的な傾向は強いので、推薦しないだろう。
このような現象は、他の分野でも見える。歴史は特に漫画での紹介には相応しいと思う。量子力学はそうではないだろう。作者がちゃんと勉強して作れば、漫画であるからこそ良い教育になることは少なくない。