復興の計画

東日本大震災から3年間以上が経ったが、復興はまだまだ途中である。仮設住宅で不自由な生活を余儀なくされている方はまだ多いし、福島第一原子力発電所の周辺での除染作業は不完全で、長期的な計画はまだ不明。この進まない復興を批判する人は少なくない。

一方、中国で自信の後の復旧や再建が早く進んだ。もうほぼ完全であるそうだ。この違いの原因は何だろう。

大きな要因は、中国政府は地元の住民と話し合うことはしない。強引な計画で、新しいマンションを建てて、人を住ませる。日本の政府は、そういう風にできない。法律に許されない。日本の政府が一般人の土地を徴収して、集団住宅を建てて、人を住ませるために、一歩一歩当事者と相談しなければならない。だから、時間がかかる。

私は、このような相談は好ましいと思うのは言うまでもないだろう。当事者が賛同しない限り、本当の復活はできない。地元の活気を取り戻すために、地元の住民のやる気は必要不可欠だ。原動力だ。その地元住民が賛同出来ない方向へ動かせたら、やる気がなくなるのは当然な結末だろう。だから、復興を実現する前に、当事者との話し合いや調整は必要だ。

しかし、それには時間がかかる。先ず、東日本大震災のように甚大な被害を齎す災害であれば、現状を把握するには時間がかかる。それは把握したら、計画についての話し合いが始められる。津波の被害があれば、町を高台に移すか、元の位置で再建するかは大きな問題となる。高台に移すなら、どこの高台に移すかは問題だ。そして、概ねに再建する場所が決まってから、詳細を決めなければならない。そのまま元の土地で建てられない人も少なくないはずだし、災害の影響で町の形を更新しなければならない場合もある。結局前のままに再建しても良いと判断しても、その判断に至るために、かなりの苦労は必要だと思う。復興に関わる問題は、当事者にとっては文字通り死活問題が含まれるので、頑固な姿勢で自分の立場を強調する人もいるのは当然だ。妥協が必要である交渉がすぐに解決されるとは思えない。強引な合意は避けたい結果だ。

その上、このような計画は災害が起きる前に行えない。被害に応じるために話し合うので、何の話は必要かは、災害の後にしか明らかにならない。

事前にできることは、このような相談のための時間を用意することだろう。つまり、復興には数年間がかかることに災害が発生する前から覚悟して、話し合うための計画などを事前に用意する。そして、仮設住宅は、5年間の住まいになる可能性に配慮して用意するべきだろう。

人間は、予想の通りの状況が受け入れ易い。辛い状況であっても、予想できたら耐えられる。一方、予想外な問題に対する反発する傾向は強い。だから、事前に「復興の骨格を決めるために、自治体の2年間の話し合いが見込まれる」と言ったら、話には2年がかかっても、苦情する人は少ないだろう。そして、行政も建設などが始まる前に地元の住民の同意を得ることが計画にあれば、焦らないだろう。そうすれば、被災者が積極的に支持する計画が作成され、本格的な復興が結局早く実現されるのではないか。


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