『神社のいろは 要語集 宗教編』

この本は、神社検定の壱級の公式テキストである。今年の壱級の受付はもう締め切られたし、試験は一週間ぐらい後で開催されるし、来年の公式テキストは異なるそうだから、検定関係で読みたい人はもう読んだと思わざるを得ない。だから、冒頭で検定を受けようとすれば、必読であることを述べておいて、内容をより一般的に評価する。

今までの神社検定のテキストは、神道についての良い本であると評価したが、この本も例外ではない。壱級だから、入門よりかなり踏み込んだ内容だから、神道についての基礎知識を持つ人には相応しい。実は、検定のチラシなどで、「かなり踏み込んだ内容だ」のような半分謝罪する表現が載っている。確かに、検定の観点から見れば、何人が合格するかは分からない。(私も含めて。先日、ホームページで受けられるプチ検定と挑戦したが、正解は7割だった。確か、合格基準は7割だから、落ち込む結果ではないが、ちょっとギリギリだ。本場で合格できるかどうかは、分からない。)しかし、壱級に人が合格しないのは問題ではない。営業の立場から、むしろ良いことだ。再受験するからだ。

そして、本の内容は興味深い。宗教編だから、宗教の観点からの内容であるのは当然だ。次の一冊は『祭祀編』であるそうだから、この本には祭祀についての情報はない。大別したら、内容は下記の通りである。

1)神道の種類。ここに、吉田神社や両部神道などの神道流が入っているし、伊勢信仰などの神社神道のなかの系統も入っている。教派神道と神道系新宗教について触れるが、この部分は詳しくない。神社本庁が監修する検定のためのテキストだから、あくまでも神社本庁が監督する神社神道に貢献した神道を中心とする。

2)国学。国学の四大人も、国学の中の学派も紹介される。

3)天皇関係の項目。

4)他の宗教の神道との関係。これは短いほうだ。特に、仏教と神道の説明をもう少し詳しくしてほしかった。

5)神道の行政的な機関。奈良時代の神祇官から現在の神社本庁までの組織史になっている。重要な内容であるが、正直に言えば、一番退屈なところでもあった。

6)神道の経典。『古事記』はもちろん、『先代旧事本紀』なども丁寧に紹介する。神話と神社縁起の地位についても説明する。

7)宗教的な概念。神から始まるが、禊祓や祟りなども説明する。

8)神道の世界観。様々な側面がある。

ここで最後に書いたところは、私にとって一番興味深かった。だから、このブログで暫くの間この記事について書きたいと思う。私の感想などを書いて、自分の神道概念を発展させるし、テキストの内容をより正確に覚える。

ところで、来年の壱級は『祭祀編』をテキストとするそうだ。つまり、今年合格しないと、真新しい内容を勉強しなければならない。それはちょっと大変だが、一方、『祭祀編』は読みたい。今年合格しても、読む。そして、来年の壱級も受験するかな。合格しても。

神社検定の公式テキストは、神道の基本勉強のために大変役立つシリーズになっている。入門から深い内容まで、優れる書籍だと思う。検定との関係を無視しても、是非ご一読をお勧めしたいのだ。


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