和装と神社

5月26日付の『神社新報』には「装束と神道文化」という座談会の発表が載った。この記事で、神社本庁らしく伊勢の神宮の式年遷宮への影響の観点から特に論じたが、基本的な問題意識には同感できる。和装の職人を維持するために、和装を身に着ける人は必要不可欠だ。式年遷宮が20年毎に高級の技能を求めても、その間の生業にならない。だから、文化を維持するために、日常的な和装を促進した方が良いとの結論だった。川越市の川越きものの日も紹介する。毎月の18日、川越市で着物を着たら、特典は沢山あるという計画だ。(そして、18日に行ったら、着物を着ている人も大勢いるだろう。小江戸のこと川越市を前から訪ねたかったが、やはりある18日に行くかな。)

このような計画は良いと思う。だから、神社界には具体的に何ができるかと考えた。もちろん、神職の装束は和装だが、他のことも可能なのではないか。

一つは、ご祈祷の指定される服装のことだ。殆どの神社では、昇殿参拝する場合、正装は指定されているが、その内容は「男性はスーツとネクタイ、女性はそれに準じる姿」と書いてある場合は非常に多い。この言い方では、もちろん洋装が基準であることは示唆される。だから、書き方を変えたらどうかな。「着物姿。それはできない場合、男性はスーツとネクタイで、女性はそれに準じる姿。ただし、浴衣は着物ではありません。」と書いたらいかがでしょうか。もちろん、厳密に言えば「着物姿」をさらに指定できるが、「男性は黒紋付の羽織袴、女性は黒留袖または振袖」と書いたら、殆どの人がビビットして、止めると思う。そして、着物を着ることは、現在ではちょっと非日常的な姿で、特別な気分があるので、昇殿参拝には相応しい。そして、着物レンタル屋さんと連携しても良い。

同じような計画は、神社の儀式で着物を着る人には特別待遇を提供することだ。例えば、社殿に近い席とか、和菓子をサービスにするなどの川越きものの日のようなことが良いだろう。これは、一般の参列者に和装にする理由を与えるためだ。

もう一つは、神社本庁ができることだ。現在、神社本庁の正式な儀式で、洋服の正装は着なければならない。それを、和装に切り替えれば良い。装束は平安時代の和装だから、現在の和装に指定すれば、祭員と紛らわしくならない。この場合、紋付などを指定しても良いだろう。正直に言えば、現行の制度は私にとって分かりづらい。神社界で日本の伝統文化を維持すると訴えるが、正装をいつも洋装にしてしまう。もちろん、紋付などは安くはないので、急に規則を変更するわけにはいかないが、5年をかけて変更しても良いだろう。すぐに和装でも認めることにして、そして5年後から和装しか認めないことにする方法だ。

最後に、神職のことだ。お坊さんと違って、神職は日常的には装束を着ない。昔は違ってかもしれないが、今は鉄則だ。神事を執り行うときや神社で奉仕する時にしか着ない。装束は日常生活には不便だから、この慣習をそのままにしても良いと思う。しかし、神事以外では、神職に和装を着ることを推進すればいかがだろうか。強制できないが、推進でも影響がある。

神社界がこのようなことをしたら、和装の文化の維持に貢献すると思えるので、いかがだろうか。


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