伝統的な家族制度

6月23日付の『神社新報』では、神道政治連盟の総会についての記事が載って、その中で少子化対策として伝統的な家族制度を再生させるべきだと主張した方がいたと伝えられる。その意味は、家長には独裁権力を与えるという意味であれば、到底賛同出来ないが、家族の形式には日本の伝統を活かすという意味であれば、悪くない側面もかなりあると思う。

先ずは、江戸時代を考えれば側室の制度がある。血縁を重視する場合なら役に立つが、関係の自由にも貢献する。法制には難しい点もあるが、考えれば、解決できるかと思う。例えば、正妻と側室の区別は現代の法律で認めた方が良いかどうかは、すぐに答えられない。一方、正妻と側室があれば、正妻の立場は明らかに有利であるので、法律上の平等が問題になるだろうし、扱いの平等を重視する私にも違和感がある。イスラム教の多妻婚では、妻を皆平等に扱う義務があるので、正妻の特別な立場は認められない。他方、婚姻から発生する権利などは、一人に与えるべき物も含まれる。例えば、意識不明になった場合の代理人になる権利は、複数の人に与えたら緊急時のややこしい問題を招く。その場合、正妻にはそのような権利を与えて、側室には与えない。

もちろん、憲法では男女平等は保障されているので、女性には正夫と側室を持つ権利も与えなければならない。そうすれば、ある女性がある男性の正妻であれば、その男性がその女性の正夫にならなければならない制度が良いか、男性は側室になっても良い制度が良いかは、慎重に審議しなければならない。そして、同じ男性を側室とする女性の間の関係も考えなければならない。出生届についても考えなければならない。生母が母親になるのは当たり前が、伝統的な制度に従えば、父親はその女性の正夫になるだろう。しかし、遺伝子検査で誰が父親であるかは特定できるので、生物学上父親である人にその立場を与えた方が良いのではないか。

そして、さらに平安時代まで遡ったら、三回性交して結婚を結ぶ制度を再導入したらどうだろう。それは、届社会では難しいと思われる。そして、住居の場所は、実家のままであることは、法律と関係ない。平安時代なら、子供は父親の方に属するが、現代風に考えれば、これは結婚しても戸籍の属性が変わらない結婚の形に相当するだろう。確かに、家族の伝統を重視すれば、実家の系統のなかで子供を産めるようになる制度は役に立つだろう。

とはいえ、「伝統的な家族制度」を讃えた方は、150年前にヨーロッパから日本へ導入された西洋系の家族制度を指した可能性はもちろん高い。それでも、日本の婚姻関係の歴史を参考としたら、現在の柔軟な制度のためのヒントになるとは本当に思う。