『日本の神々』

この本は日本の神々を紹介する。八百万の神々は印刷された本の中に入れきれないので、この本は選抜した149柱を紹介する。149柱だから、有名な神様の殆ども、あまり知られていない神様も入っている。方針として、まず神武天皇以前の起記神話に登場する神様を紹介して、そしてその他の神様を紹介する。これも普通だと言えよう。

この本の紹介方法は独特で、面白い。先ず、すべての神々の絵が載っている。そして、主な神社や利益の情報に加えて、「名高さ」「霊力」「ミステリアス」「慈愛」そして「神話登場」の項目で1から5の数値を与える。主流の神には二つの頁を使用するし、脇役の神には一頁、それとも半頁を使う。だから、例えば天照大神には2頁があるが、宇比地邇神と須比智邇神には合わせて半頁になる。神様の重要度が決まる基準は曖昧だが、八幡様ことホムタワケ神には1頁しか与えないのは不思議に感じる唯一の例だった。(確かに起記神話にはあまり登場しないが、主流の神様で、起記神話以外の神話は多いし、解説の文章の中でその神話の一つを紹介するので、知っていたのは明らかだ。)「名高さ」などの数値はただの遊びとして考えた方が良いが、確かに面白い。内容も大した問題はないが、カタカナの入力にはミスが発生する場合もある。タケミカヅチノオがテカミカヅチノになるなどの明らかなタイプミスだから、誤解されないと思うが、ちょっと注意点になる。(そして、私が読んだのは初版なので、もう訂正されただろう。)

この本で気づいたことは、日本の神々で性別は曖昧の神はどれほど多いかということだった。名前には「男」や「雄」、それとも「彦」や「毘子」があれば男神であることは明らかだし、「め」か「ひめ」は女神を指摘するが、どちらもない神様は多いし、神話で性別が特定できる活動はないかぎり、何とも言えない。神産霊神などの造化三神は、「性別はない」と明記されているが、他の神は、性別があるかどうかさえ不明だ。これは、ギリシア神話などと大きく違うが、日本語の特徴の一つから発生する現象だ。

私は、この本を最初から最後まで読んだが、そうすると繰り返される情報は少なくない。例えば、スサノオ命で八岐大蛇の神話が説明されているが、奇稲田姫神の頁にも説明される。それは当然だが、この本を事典のように使った方が良いのではないかと思う。文字ばかりの本をつまらなく感じる人なら、この本は良いのではないか。神様の絵は楽しみたかったら、是非。


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