最近、代々木公園で発見されたデング熱を感染された蚊の発見が報道されている。昨日の今朝のニュースによると、代々木公園の大半が立ち入り禁止になって、人が訪れることを止めているそうだ。
この反応は、妥当と言わざるを得ない。
先ず、デング熱が致死することは少ないとは言え、とても痛い病だそうだ。避けたい気持ちは当然だ。そして、代々木公園で散歩などすることは、さほど重要なことではない。別な公園でやっても良い。確かに長ズボン、長袖、虫除けの対策を完備すれば、リスクはとても低いが、その低いリスクにも自分を晒す理由はない。
そして、デング熱は蚊から人間へ伝染されるが、人間から人間へ直接に伝染しない。それでも、人間から蚊へ伝染することはある。それはデング熱の広がる方法だ。蚊から人間へ、人間から蚊へ、そしてまた蚊から人間へ。この循環が根付くと、日本からデング熱を追い払うことは難しくなる。だから、人間が感染された蚊の棲む辺に入らないような対策は適切だ。今まで日本で確認された感染は代々木公園周辺で蚊に刺された人に限られているので、代々木公園の蚊を消滅すれば、伝染を切るだろう。同じように、蚊に刺され、発熱となる人はすぐに医療機関に受診する勧告は、当人の治療に加えて、別な地方の蚊への伝染を防ぐための方針だと思える。蚊に刺されると重病になることが日本の常識にならない方が良いのは否めない。
この対策の早さを考えれば、ちょっと遅いかと思えるが、問題が確認されたら、すぐに公園内の制限を置いたので、一般の人へ迷惑をかけないように動いたと言える。
一方、代々木公園にはテロ組織が爆弾を隠したとの確実な情報が入ったら、公園を即座に全面的に立ち入り禁止にして、数百人体制で捜索するのではないか。デング熱の感染が広がると、苦しむ人も、死ぬ人も、一つの公園内の爆弾より多くなると思える。(普通の日の公園の中の人間の密度はそれほど高くないので、爆弾はテロ組織が隠せる大きさであれば、死者は10人未満だろう。ラッシュの地下鉄と大きく違う状況だ。)それでも、危機感や緊急性は低くて、不思議に思わざるを得ない。
一つの理由として、デング熱は病気だから、自然の一部であるからだろう。人間の脅威に強い体勢で立ち向かうが、自然からの脅かしは、仕方がないと思ってちょっと消極的になる。
しかし、それだけではない。エボラ出血熱が日本で診断されたら、すぐに大規模な対策がとられるだろう。同じように、交通事故で死ぬ人は、テロ事件で死んだ人の数を大きく上回るが、すぐに対応しない。慣れている危険は恐れないこともあるし、蚊の刺されは慣れているだろう。
それでも、デング熱への対応は適切であると言える。大げさではないし、完璧でもないと言えても、人間の活動には完璧はない。対策が効いて、デング熱をまた日本から払拭するように祈って已まない。